画面越しの推し

最近は推しのライブ配信を欠かさず見ている。こう言っては失礼だが、まだまだ売り出し中の、人気のない人なので、コメントは全て読んでもらえる。つまりは推しと会話している状態。人気絶頂のアイドルを推しているファンには羨ましがられることだろう。


けれどもなぜか、時折虚しい気持ちにおそわれる。画面越しに目が合っているのに、自分のコメントを拾って笑ってくれるのに、ふっと熱情が醒める瞬間がある。


……こんなことをしていても自分がひとりきりなのには変わらない。寂しさを推しを眺めることで紛らせているつもりでも、配信が終わると誰とも会話できない自分に引き戻される。楽しければ楽しいほど、自分の虚しさが大きくなってしまう。


本当にのめり込んでいる人ならこんなことは思わないのだろう。そう思うとさらに虚しい。自分はあの人を推しているつもりで、気軽に話をできる誰かが欲しかっただけなのかと、わかってしまうから。



画面越しに目が合っているのになぜだろう 少し虚しい ひとりがさみしい

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