独占欲
はっきり言ってわたしは君への独占欲を隠しきれていないのを自覚している。陶器のような肌、涼やかな目元、通った鼻筋、薄い唇、しっかりとした柳の葉のような眉。君は完璧すぎる。
美しい君と並んで歩くとき、わたしは気恥ずかしさで壊れそうになる。雛人形の最上段に鎮座していそうな上品な君と、庶民的な平凡すぎるわたし。どうして君は好んでわたしと一緒にいてくれるのかわからない。
自分でも、君の美しさのために精神のバランスを崩しているのがよくわかる。
わたしの部屋のソファで、君が寝転んでボーッとしているのを見つめるとき、その細い首筋に刃物をつきたてて、鮮血のバラを咲かせてやろうかという衝動に駆られることがある。それはいきすぎた独占欲のためでもあるだろうし、単に白肌のキャンバスに真紅の花を描きたくなる美術的欲求のためでもあるだろう。
だがここでふと冷静になる。君の綺麗な首に、ばっくりと傷が開いたら、はたしてわたしは今ほどの愛を君に注げるだろうか、と。
そうして今日も、わたしは君を殺せないでいる。
君の綺麗な首元を愛すれば独占欲のナイフがすべる
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