地獄のみちゆき

あなたと地獄の砂利道を手を繋いで歩いている。なにがどうしてこうなったものか、まったくはっきりしない。


空は暗く曇り、業火のためか、遠くの空が赤く染まっている。不気味な生温い風が肌を撫で、なんとも言えない悪臭と、背筋が冷たくなるような絶望と恐怖に満ちている。

あなたは相変わらず、薄く微笑みを唇にとどめ、涼しい顔をして歩いている。まるでネモフィラの花畑に遊びに来たような顔ですらある。


「貴方と心中するのは何度目だったかしら」

不意にあなたが口を開いた。……そうだ、おれはこのひとと何度も何度も心中未遂を繰り返し、そのたびに世間のバッシングを浴びた。

こうして共に地獄を歩いているということは、うまく死ねたんだろうか。


「五回目にしてようやく死ねたようね。……どう? ご気分は」

あなたが不気味に微笑む。


こんなつもりではなかった。一緒に死んでと縋られるままに、死なない程度に手加減しながら狂言自殺を図っていただけだ。死ぬのはこの女だけでよかったんだ。……どうして……どうして。

 




手をとって地獄へ共に逝きましょう 恨むなら、そうね、運を恨んで

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