変われない
これまでの人生、いつも俺は情けなかった。学校は中退、仕事はバイトが続いたり続かなかったり。趣味や特技と言えるものもなければ、興味のあるものもほとんどない。
――どうして俺は。
この間はそういう俺の性格を理由に、何人目かもわからない彼女にフラれた。俺はどうやら恋人も続かないらしかった。
「あんたはいつも我慢ができないからね」
姉貴にはそう分析された。
昔から俺は忍耐力というものには縁遠い。なにかを努力して突き詰めるくらいなら、寝ていた方がマシとさえ思う。もちろん恋人関係の微妙な我慢や駆け引きのようなものもウンザリするほど大嫌いだ。なるほど、俺は人生のすべてに我慢ができないらしい。
ならば、
「死ぬかぁ……」
俺が選んだのは、自殺の名所、とあるダムに続く橋の上。雨が降っていた。
降られるままに雨に濡れる。
俺は、これまでの人生を悔いることはあっても、変わろうという気持ちにはなれない。頑張ることはダサいことだと、俺の魂に刻みつけられている。雨に打たれたら、滝行よろしく精神統一のようになって、頑張る気になるかと思ったが、無理だ。
俺は濡れネズミのまま、橋の上でうずくまった。
情けない体を雨に打たせても 何も変わらず、変われなどせず
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