川遊び

河原に出て遊んではいけないと、学校からも親からも近所の大人からも口うるさく言われている。言われているが、ぼくたちはそんなことに構わずに緑地から河原におりて石を水面に跳ねさせる。


「なあ、川、ちょー冷たいぜ!!」


お調子者キャラの仲間がいつの間にか靴と靴下を脱いで川に足首まで浸かっている。タオルもないのに帰りどうすんだよとか、川底の石がぬめぬめして気持ち悪いからとか、そんなことは誰も言わない。楽しければいい。晴れていれば足は乾く。川底はぬめぬめしていて当たり前。なんなら、今日こういうことをして遊ぶだろうと予期したのか、素足にビーチサンダルの奴もいる。ビーチサンダルの仲間はサンダルのまま川に入れるので羨ましがられている。


「だってさ、靴下がくせえって兄ちゃんに叩かれんだもん。なら素足にビーサンでいいだろ? オレって頭良いな〜」


ぼくたちだって川に行ってはいけないタイミングくらいよくわかっている。流されて亡くなる子どもも毎年いるのもわかっている。けれどぼくらに言わせればそれは、川と仲良くならないうちに調子こいたことへの代償なので、正直知ったこっちゃない。


「はあ〜気持ちいいな〜……」


川べりのデカい岩に数人で腰かけて足先だけ水につける。まだまだ暑い。蝉の声が聞こえない。



足先を川面につけて目を閉じる 流されるにはまだ暑いので

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