幻滅

恋に恋する、という言葉を知ったとき、私のような人間は案外たくさんいるらしいことに気が付いた。


はじめて恋人ができたとき、とても浮かれたのを覚えているが、趣味をおしつけられたり、メールの返信が遅いと怒られたり、一緒に出かける時の服装がださいと文句をいわれたり、粗ばかりが目立って、ひたすら幻滅していく日々だった覚えしかない。


異性だからそう思うのかと思って、同性の恋人も作ってみたが、同性はまた、同じ性別ならではの不満が多くて、自分の性格の悪さにもがっかりしていった。


恋人というのは、あまりいいものではないのだなと、少なくとも私の中では、そういうことになった。

けれども、世の中では恋人を作らず独り身でいるのは性格に難のある事故物件か、恋人ができないことを嘆く気持ちがあるのに「敢えてひとりなのだ」と強がっている人間か、としか見られないらしい。そのように思われるのはまた癪なので、特に好きでもない人間となあなあの付き合いを続けているが、自分の冷たい対応が相手を傷つけたり、相手の束縛の激しさが自分にはかなり鬱陶しかったり、ストレスでしかないのが現状である。


恋愛というのが、ただの自分の中の甘い妄想に過ぎなかったとき、私は幸せだった。現実を知ってしまった今、理想と現実の落差に複雑骨折してしまったような気持ちがしている。

知らなければよかったことは、案外その辺に転がっているらしいのだ。


ただ甘い妄想であってほしかった 現実(リアル)にいては傷を増やすだけ

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