神頼み

はい、これで何人目だい? そうか十八人目か……。

暦の上では秋になり、夏休みも終盤に差し掛かったころ、毎年わたしはこの悩みにうなされる。


「神様、どうか二学期の始業式に台風をぶつけてください。あわよくば学校を吹き飛ばしてください」


気持ちはわかる。自分の職場に通わないで、仕事もいつも通りにしなくていい日々から抜け出したくないのは、とてもわかるよ、だけどね。あのね、神様も君たちの願いを叶えるのは仕事なんだ、わかるかい? この時期になると、やれ台風を連れてこいだの、やれ休校させろだの、社会人諸君もお盆休みから抜けたくないからって不謹慎な願いをぶつけてくるが……君たちならこんな仕事をしたいか?


常々わたしは思うんだが、君たちはいくらでも休ませてくれと神に願うのに、わたしたちに用事のないときは神など信じない上、叶えてもらえなかったら神の馬鹿野郎くらいは言うよな。それはどういう了見だ? こちらは正月から休みなく仕事しているんだぞ?



……とまあ、いろいろ言ったが、わたしだって夏休みが終わりそうになったらきっと、そんなことを願ってしまうのだろう。



神様もほんとはいっぱい休みたい、学生だけじゃないんだからね

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