第2話 奪い合い

「コードネームシエリア?」

俺の知らない間ではコードネームというのが流行っているらしい。

『君名前は?』

「俺か?」

『他に誰がいるって言うの?』

「俺は悠騒蒼空だけど」

『そう!蒼空君危なかったね。危うく死んじゃうところだったよ?』

「おう?ありが…とう?」

『それはどういたしまして』

シエリアはそう言って俺に微笑みを見せてくれた。その笑顔はとても眩しく美しかった。

その奥でとてもつもない殺気が襲った

《さっきはよくも邪魔してくれたね》

《良くもまぁ自己紹介なんかしちゃって》

《君たちこれから生きて帰すと思うわけ?》

『君が人を殺したりするのが悪いんだよ、

それに生きて帰すと思うって言うのは私のセリフだよ』

《何言ってるんだい?僕に勝てると思ってる感じ?》

『そうだけどなにか?』

《つだったら思い知らせてあげるよ!》

クロムは目にも止まらぬ速さでシエリアの前に行き腰にあるもう一本の刀でシエリアを刺そうとした

「シエリアー!!」

『大丈夫!私最強だから!』

シエリアは刺される直前で回避した

クロムは一旦引いた

《へぇ〜君意外とやるんだね》

『君こそそんな動きができるとは思ってもいなかったよ』

『それでも…あなたの攻撃は私には当たらない』

《くっ》

クロムは悔しそうな表情をし刀を右左とやっていくがシエリアは全てかわしそして刀で受け流した

まるで川の流れのように華麗な動きだった

「すげぇー、」

《クソ…バカななぜ当たらない?》

《うがっ》

シエリアがクロムの腹部に腰にあった刀の鞘で攻撃したのだ、クロムは苦痛のあまり膝をついていた。

《僕の剣がかすりもしないんなんてこんなの初めてだよ》

『そりゃどうも!』

「いや褒め言葉なのか?」

俺はツッコミを入れてしまった

『クロムあなたはなぜ他人の心臓を集めているの?目的はなに?』

《答える気はない…》

『そう、なら』

その時だったシエリアが刀の矛先をクロムに向けた。クロムはシエリアの一撃が重かったのか身動きが取れていないように見えた

クロムがシエリアを見返した

《必ずいつかお前を殺す》

『次が来ればね』

シエリアがトドメをさそうとしたとき

{大丈夫ですか?おぼっちゃま}

シエリアは周りを見回したその時だった

クロムは即座に誰かに抱き抱えられ

バッタのような軽いジャンプで屋根上に立った。

『速い、』

{おぼっちゃまが返り討ちに合うのは久しぶりですね。}

《うるさい…》

おぼっちゃまが苦戦してる相手なかなか油断ならないですね。

{今日の戦闘は一旦おわずけと言うことで}

『待て!』

{では!}

そう言って暗闇の中へ消えていった

『油断してしまった。』

シエリアはその言葉だけを残して夜空を見上げた。

「あれ?体が動くようになった」

…ん?後ろの角から視線を感じたが気のせいだと思った。

『あぁ〜それは多分君あのクロムとかっていうこの目を見たでしょ、数秒見ていると体が拘束されるようになっているんだよ』

なるほど確かに俺はクロムの目を見ていたのかもな、

「助けてくれてありがとう!」

『お礼はあとで支払ってもらうよ』

「ただの優しいヒーロー様では無さそうだ」




「はぁ〜あ疲れた〜!」

「ただいまー我が家ー!」

俺は今にあるソファーに座ってくつろいでいた。いつもあるテレビやテーブル、エアコン

キッチンなど必要な家具や設備が揃っている

「さっきの出来事でコードクロムと言うやつはどうやら他人の心臓を集めているらしい、

そのせいで俺は襲われたところを守ってくれたってことでいいんだよな?シエリア?」

『そういうこと!』

シエリアは何故か人差し指でこちらを指してきた

「って言うかだ!何故お前がここにいる?」

『まぁまぁいいじゃないこれから一緒に活動していくんだから』


そうそれは激しい死闘のが終わった話である

「お礼?俺ができることならなんでもするが?」

『ふふふ…その言葉を待ってたよ』

「え?」

『今日から君は私の保護対象となるからこれからはパートナーとなって行動を共にすることになるから。』

「……」

「え?」

『まさかだけど断ろうとしてないよね?

男に二言はないって聞いた事あるけど?』

シエリアのこれは煽りなのか?

「めっちゃ強引になろうとしてるじゃんか…」

「パートナー?お前のか?」

『そうだけど?』

「すまん!ちょっと待ってくれ」

どういう展開だ?急に襲われ助けられコードネームを名乗る謎の少女に助けられ、

「シエリアお前はまず何者なんだ?」

『そうだね自己紹介はちゃんとしてないね

私の名前コードネームはシエリア!

主に人助けとして活動している身だよ』

「人助け?こんななんも知らない俺を助けたのか?」

『うん?そうだけど別に君を助けるためだけに戦ったわけじゃないよ』

『ただ私の手助けをして欲しい!』

それってもしかして俺に惚れた?

「早速俺の事を好ー」

『断言するけどそれは百パーセントないから』

「あっはい…そうですか」

「…………」

少しの沈黙が続いた


「だとしても俺をそんなに必死に守ろうとしてるんだ?初めて会った人にここまでは普通しないだろう?」

シエリアは少し考えていそうな顔だった

『蒼空君にはいずれその時が来たら教えてあげるよ』

『その時が来たらね?』

何故か分からないが不安そうで悲しそうな顔をして言ってきた

「わかった」

『君のメリットは

そうだねう〜んまず可愛い人の元で働けることでしょ?それから君は今命を狙われているわけだだからその時は私が守ってあげる例え私が死ぬとしても!』

『だから君私のパートナーになってよ』

シエリアは手を差し伸べてきた

断るのは簡単だ。だが…

「助けられてはい、さよならで済まないしな。命の恩人だし、」

「シエリア俺をお前のパートナーにさせてくれ!」

『本当に受け入れてくれるとは思ってなかったよ、でもありがとう!』

『これからよろしくね!悠騒蒼空!』

シエリアの笑顔は天使のように明るく眩しす

ぎるくらいだった。




「そこまではまだいいんだ!」

「だけどなぜ人の家へ上がり込んでコーヒーを注ごうとしてるんだシエリアさん?」

『君もコーヒー飲む?砂糖は私が結構使っちゃうから飲むとしてもブラックにして欲しいな、砂糖の数少ないしちゃんと買っといてよね。』

「嘘だろ、このうちの宿主でない人から注意されてるんだが」

『ついでに君宿主じゃなくて借り主ね?』

「あっそっか!んじゃなくてなんでそれも知ってるんだ?!」

『まぁまぁ落ち着きなよ』

「落ち着いてられるか!」

『いくらこんな可愛い子がいるからって

テンション上がるのはいいけど変なこと考えないことだね』

「なんか勘違いされてる人いる…」

「あまりそういう嘘は言わない方がいいぞ?」

シエリアは眉間を寄せて胸ポケットから

銃がでてきた

『ん?今なんて??』

その銃を俺の額に当ててきた

「なんでもございません!」

シエリアは許したのか銃をしまいはじめた

怖すぎだろ…

シエリアは自分の入れたコーヒーに砂糖を加え口にしてテーブルの上に戻した

「それでもう一度聞くがなぜ俺の家にいるわけなんだ?」

『それは…』

「それは?」

『宿泊する場所がなく生活に困っていたから!』

「まぁ〜よくもそんなに堂々と言えたもんだな?」

『ありがとう』

「いやいや褒めてないから」

『それもあるけど君の安全を第一に考えたら君の近くにいた方が守りやすいのもあるけどね』

「確かにそれはあるな…」

「でもラッキーな事に部屋がいくつも空いてるから好きな部屋は使っていいぞ!」

『さすが!やっぱ私の相棒は違うね』

シエリアが気分屋ということをこの時良くしった。

「はいはいありがとうございますー」

「シエリア1つ質問いいか?」

『どうぞ』

「クロムっていうのは一体何者なんだ?」

『……』

少しの沈黙が続いた

『そうだねこれは話さないと…』

『今の段階で言えることは

クロムは人体実験で成功した唯一の存在であり人工的に作り出された非特感者通称

無致者(クローン』と呼ばれている。』

『実験で成功して生還しているのは特別で

それぞれの特殊な能力が得られるんだよ』

「なるほど」

『例えばさっき君動けなかったでしょ?

それと同じ特殊能力を持っているんだよ』

なるほどクロムのことはよくわかった。

「さてそろそろ夜遅いしとにかく寝よう?」

『そうだね今日は寝ようか』

布団をもう一つの部屋に持っていき敷いて寝る場所を確保していた

『一緒に寝る?』

「…は?え?ね、ねないよ」

『ふふふ冗談だよ!』

『おやすみ〜』

俺は顔が暑くなりシエリアの目を見れなかった

「お…おやすみ」




また俺は不思議な夢を見た

『辺りは火や瓦礫で覆われ黒い煙幕が上がっている。

そこには総司や奏恵もいた。

総司は右腕を怪我しており、奏恵は泣いていた。

その目の前には軍服の帽子、服腰には刀を持ちかまえているやつがいた。

「クロム?!」

《やぁーまた会ったね貰いにきたよー》

《君の心臓を》

クロムは笑っていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る