リセマラーの俺が転生したのはスマホのソシャゲ世界でした〜固有スキル【ラストアルカディア】と【リセット】で生き延びようと思います〜
第7話 勝てないステージをリタイアする事はよくあるが、リアルになってもできるとは思わなかった
第7話 勝てないステージをリタイアする事はよくあるが、リアルになってもできるとは思わなかった
あの後。
俺の送った要望メールにまた一瞬で返事があり、俺の要望は無事
これで強化素材ダンジョン周回しなくても1人はすぐにMAXまでレベルをあげられる。
と言ってもまあ…実際はプレイヤーレベルを上げたり、メインストーリークリアしてあれこれ機能を解放していかないとあげられないんだけどな。
それともうひとつ
それについても同じメール内で回答をくれたていた。
そしてその『リセット』という言葉は口に出す必要はなく、頭の中で念じるだけでいいらしい。便利だ。
ガチャどころか他の場面でもいくらでも使えそうなスキルだ。
しかも、
「…メールの確認も漏れは無い…よな。よし行くか! たしかタイト画面に触れてゲーム起動したら戻れる…んだっけ? 」
俺は『✕』を押してメニューを閉じるとタイトル画面の真ん中らへんをてきとうに押した。
すると、目の前が真っ白になっていくので思わず目をつぶる。
そして再び開けると──
「っ! 」
さっきリタイアをしたその直後の時間の同じ場所に戻ってきていた。
見た所チュートリアルで時間が止まったままのそのままの様で、世界に音と色は無い。
そして、前方には変な体勢で静止している大型のセキュリティロボットtypeZとそれを驚愕顔で見るルシルとティナリー…
ボスと俺達までの距離のちょうど中間地点には、合流するはずだった仲間2人も瀕死で横たわっている。
「本当に俺がリタイア押す直前に戻ってる…」
ゲーム画面の方はどうなってるんだ?
…あぁ、なるほど。
一時中断してるって事になってるのか。
それなら画面閉じて周りの時間を動かす前に、念の為本当に難易度が戻ってるか確認しとこう。
何故かは知らないが、ゲームだった時と違って一時中断中でも『敵の情報画面』を開ける様だからな。
俺はバトルの『一時中断』画面から『敵の情報画面』を開いた。
「平均レベル5…大丈夫そうだな」
俺はほっと息を吐く。
そして頭の中で時間を進めた後の事を念入りにシュミレーションしてから『バトル再開』を押した。
すると、世界から音と色が戻って時間が動き始める。
「ルシル! 2人を見てる間、少しあいつの注意を引き付けておいて欲しい! 」
「指導者様…ご期待くださるのは嬉しいのですが、アレを私一人ではさすがに無理です…」
そういうルシルの顔色は青い。
「大丈夫だルシル、弱くしてもらった!! 」
「弱くして…? それはどういう…」
訝しげにそうつぶやいたルシル。
ボスをもう一度じっと見て目を見張った。
「雰囲気がさっきと全然…本当に弱くなってる…!? 」
「倒してしまうと2人を助けられないから倒さないで足止めだけ頼みたいんだが、行けそうか? 」
「足止めですか…? はい! アレなら問題ありません! 」
「そうか! なら頼んだ! でも絶対倒すなよ! さっきとは別物みたいな弱さになってるからな! 」
「はい!! 」
そう言って張り切って笑顔で返事をするルシルを見て、ゲームだった頃のチュートリアルのボス戦直前のストーリースチルを思い出した…
そのイラストのルシルと今の笑顔がそっくりだったのだ。
そしてそのせいで唐突な不安に襲われたが、敵を倒しさえしなければ大丈夫だと自分に言い聞かせて不安を押さえつける。
今のルシルは最上階での怪我イベントは回避したので、怪我は何もしてない。
その上相手はレベル5でルシルはレベル90。
負けるわけが無い。
大丈夫…大丈夫だ。
「ティナリー、2人はどうだ? 」
俺は大丈夫だと自分に言い聞かせて2人のそばにいるティナリーに話しかけた。
「お兄ちゃん…まだ生きてるよ…けど…もう…」
そうか…
クソ…俺のせいだっ…!
「2人とも安心しろ、大丈夫だ! 絶対助かる。いや、助ける! 」
俺はそう宣言して倒れている2人の手を握った。
「アリーシャ、ソーマ、聞こえてたら手…いや、指でもいい…何か動かしてくれ! 」
俺がそういうと2人から微かに反応があった。
よかった…
「ルシルは戦いながらになるが…4人とも、よく聞いてくれ! 今からそこのデカブツとの戦闘で起きた事を全部丸っと無かった事にする! 」
「なかったことにする? お兄ちゃんそんな事できるの? 」
「あぁ…」
……たぶん。
正直自信はない。
ないが、
成功させないと俺の命もないからな。
「……詳しい話をしてる余裕は2人の状態的になさそうだから後にする。アリーシャとソーマは、無事に過去に戻って…自分の体の怪我が無くなったのを確認したら、デカブツが降ってくる前に1階の昇降機前にいるティナリーと合流だ。タイミング的におそらく俺とルシルも一緒にいるはずだ…」
2人がゲームの頃より早くボスに襲われたのは俺が最上階での戦闘を回避したからだろう。
最上階でセキュリティロボットと戦ってないから、セキュリティシステム側に俺の位置情報データがいかなかった。
結果、俺の居場所がわからなかった。
だから、わからないなら必ず通るであろう塔の入口に先回りし待ち伏せしようとシステムが判断した。
とまあ、ボスの襲来が早まったのはそんなとこだろう。 知らんけど。
「アリーシャ、ソーマ、今の話を理解してもらえたなら、さっきと同じ様に何か反応を頼む…」
俺がそう言うと再び2人と繋いでいる手から微かに反応があった。
「よし、じゃあさっそく【リセット】するから…ティナリー、俺以外の人はリセット後も今のこの記憶を保持しておくために、発動中俺に触れておく必要があるらしい。だからどこでもいいから触れててくれないか? 」
「記憶…ほじ…? よくわかんないけどわかった〜! 」
よくわかってなさそうな顔でそう言ったティナリーが俺の右手の甲に触れた。
「ルシル! 敵の足止めありがとう! もう大丈夫だ! ルシルもこっちに来て俺に触れてくれ、【リセット】する! 」
「わかりました!! 」
そういうとルシルがセキュリティロボットtypeZを足で軽く蹴り飛ばしてからこちらへやってきた。
「おぉう…今の軽い蹴りでHPゲージ赤くなった…つっよ」
思わずそんな事をつぶやいているとルシルが俺の左手の甲に触れた。
「指導者様お待たせいたしました! 」
「いや、待ってないさ…」
よし、やろう。
メインストーリー0-3の開始前…0-3の開始前…0-2終了直後…【リセット】!!──
俺がそう念じた瞬間、ぐるりと世界が廻った。
そして──
気がつくと[終わりの塔 1階]の昇降機前にいた。
「天地が逆さになった時はどうなるかと思いましたが…本当に2人が傷を負う前に…戻って来たようですね…」
ルシルがびっくりした様子で周りを見ながらそう言って、近くに転がっているセキュリティロボットの残骸に近寄った。
「さっき私が倒したロボットの残骸ですね…ですが、切り口…かなり熱を持ってます…中心部ならともかく切り口は冷えるのも早いでしょうから…今は本当に倒した直後の様です…」
「みたいだね〜…お兄ちゃんすごいね…」
ティナリーもさっき自分が吹っ飛ばしたセキュリティロボットに触れている。
「あぁ、ありがとうティナリー…」
いつも元気なティナリーも心做しか放心気味の様子だが、無理もない。
俺だって
「救世主様! 」
「神様! 」
俺自身もあまりの出来事に放心していると、塔の入口の方から聞き覚えのある声優同じ可愛い声が2つ聞こえてきた。
水属性の魔法アタッカーアリーシャと薬師のヒーラーであるソーマだ。
「2人とも! 無事に怪我する前に戻ってこれたようで何よりだ」
「ありがとうございます、救世主様! 」
「ありがとうございます、神様! 」
き、救世主様?
神様?
「俺は救世主でも神でもないんだが…」
「いいえ! 死にかけていた
アリーシャが興奮気味にそう言った。
あれぇ…?
アリーシャって、もっと大人しめというか…お上品なお嬢様って感じの子じゃなかったっけ?
「そうですよ! 僕もうダメだって思ってたのに、今こうしてなんの傷もなくここにいられるのは貴方様のおかげです! 」
ソーマも長い耳をピクピクさせながら崇拝の目で俺を見てきている。
ンンン??
ソーマって…もっと冷めた感じじゃなかったっけ?
ふ、2人のキャラが…ゲームと…まるで別人に…
しかも、主人公である俺の呼び方すら違う。
ルシルが指導者様で、ティナリーはお兄ちゃんなのはゲームの頃と同じなのに…
2人は全くの別物だ。
だってゲームではアリーシャは指導者で、ソーマはプレイヤーネームにさん付けだったからな。
というか、いくらなんでも呼び方が4人でバラバラすぎる…
「と、とりあえず、さっき起こった事に関しての詳しい話をしがてら…自己紹介といこうか…」
本当になんでこんな事になったんだ…
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