Side:クローデット 探し求めた最強の牡


 ※クローデット視点



 サキュバスクィーンとして生まれたあーしは、物心ついた時から、ずっと強い牡を求めて戦ってきた。



 魔族だけでなく、異世界から召喚され、勇者と呼ばれた人族の男にも挑み、自分を超える強い牡を求め続けた。



 でも、今までは誰一人、あーしに勝った牡はいない。



 あーしの力に及ばず、倒れた男たちから精を吸い、命を長らえたことで、『吸精姫』って異名も付けられた。



 そんな時間が、ゆうに200年を超えたころ、あーしの力を恐れた大神バレンティヌスによって、巡らされた策に引っ掛かり、このワイズの街の地下宮殿に封印され、眠りについたんだけど――。



 そしたら解けないはずの封印が解け、目が覚めてみたら、封印の監視役だった裏切り者の暁光ぎょうこうの白銀竜ローダンを倒したあのおじさんがいた。



 負け知らずだったあーしを初めて戦いで屈服させ従魔にさせた、痺れるほど強い牡の匂いを感じさせるおじさん。



 しかも、大人の男がひと吸いで命を失ったこともある、あーしの『死の接吻』を受けてもピンピンしてるの見て、もう絶対勝てないやって思ったし、おじさんのものにされたいって感情が強くなった。



 致命傷で命が消えそうだったあーしのために、何度も精気を吸わせてくれるくらい、とっても優しかったこともポイントが高い。



 たぶん、今のあーしはおじさんにめっちゃくちゃ惚れてる。



 生まれて初めて牝の本能っていうか、サキュバスの習性だけど、今、猛烈におじさんの子供が欲しいって思ってるしぃ。



 おじさんのこと考えるだけで、顔が火照ったり、胸辺りがドキドキしたりするし、ずっとくっついてたいとか思っちゃうわけで。



 こんな気持ちになったのは初めてだ。



 他のサキュバスたちは、自分より強い牡を早々に見つけて子作りしてたのを見てたけど、あの娘たちも今のあーしと同じ気持ちだったんだろうなぁ。



 でも、あーし、接吻で【吸精】はしたことあっても、男女の営みとか全然知らないしぃ、おじさんもあーしとちゅーをあんまりしたくなさそう。



 鏡に映る自分の下腹部には、専用牝化したことを認めるサキュバス専用の言語で『ノーキン専用』と書かれた淫紋がバッチリと刻まれている。



 サキュバスが従魔になった印の淫紋も下腹部に刻まれちゃったし、おじさん以外とは子作りできない身体にされちゃった。



 おじさんと子作りかぁ。



 その時のことを考えるだけで、恥ずかしさで顔が火照る。



 わりと容姿には自信あるんだけどなぁ……。



 あーしの容姿に惑わされた弱い牡たちから、群がられて迷惑してたわけだし。



 もしかして、おじさんって、あーしみたいな子とか好きじゃないのかなぁ。



 やっぱ最初に戦ったのが、印象悪いかったかも……。



 あんなに強い牡だって知ってたら、戦わなかったのに。



 やっちゃったことはしょうがないとして、ちょっとでも、おじさんの好みの牝になるため、いろいろと確かめていかないと。



 鏡に映る自分の姿を見ていろいろと考えていたら、扉の外で待ってるおじさんから声がかかった。



「おーい、クローデット、準備はできたのかー?」



「おじさん、ちょっと来てくれるぅ?」



「何か問題でもあったか?」



「うん、超大事!」



 収納魔法を使って、異空間にしまい込んでいた下着を取り出すと、ベッドの上に拡げ、外で待ってたおじさんを部屋に招きいれた。



 扉を開けて、部屋に顔を見せたおじさんに下着を見せる。



「おじさん、どっちが好み? こっちの紫? それとも赤? 黒もあるけど黄とか? まさか白?」



 部屋に顔を見せたおじさんの表情が固まる。



 慌てて、こっちから目を逸らした。



「しまえ、しまえ。男に自分の下着を見せるやつがあるか」



「だって、おじさんが好むやつはどれかなーって知りたいから、持ってるやつ全部ならべてみたっしょ。ほらほら、どれが好み。おじさんの好きなやつ履いてあげるからさ。このスケスケのやつとか? 布の面積が少ないのもあるよ!」



「どれでもいいから、しまえ」



「えー、おじさんの好みのやつ履いて、ちょっとでもムラムラしてもらえたら、ちゅーとか、おっぱい揉んでもらったりとかもしてもらえるかっておもったのにぃ。じゃあ、このスケスケの黒いやつにしとくね」



 あーしはその場で衣服と下着を脱ぐと、手にしていた下着に履き替える。



 ちょっとこっちのこと見てる。



 胸とか下の方も見てるみたい。



 身体には興味があるみたいだ。



 よかった……。じゃあ、まだ脈はあるってことだよね。



「あのなぁ。急に脱ぐなっての。俺は外にいるから着替えたら行くぞ」



「もぉ、おじさんにあーしが着替えるところ見ててもらいたいのにぃ。それに、ほら、ここにおじさん専用って淫紋もちゃんと刻まれてるんだよぉ。ほらほらぁ、見て、見てぇ~」



「見せるなー」



 あーしの裸と下腹部の淫紋を見たおじさんは、顔を赤らめると、急いで扉を閉めた。



 おじさんの照れた顔、かわいすぎっ……。



 なんか、あの顔を見れただけでキュンキュンしちゃうっしょ。



 とりあえず、あーしの身体には興味あるみたいなのは確認できたから、これからもどんどん見せてムラムラしてもらわないと。



 うん、頑張しかないっしょ。



 下着を履き替えると、荷づくりをすぐに終わらせ、扉の外で待つおじさんのところに急いで向かった。

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