第五話 討伐依頼を受けてみた!

【チュートリアル3 討伐依頼を受けろ】



 チュートリアルが進み、受付嬢が依頼書を差し出してくる。



 ランクはFと大きく書かれていた。



「地下墓地にゴブリンが5体ほど住みついてしまったので、討伐して頂けますでしょうか? 依頼を受けられる場合は、こちらにサインをお願いします」



「ああ、この依頼受けさせてもらう」



 受付嬢が差し出した依頼書にサインをして返すと、上の1枚をこちらに渡してきた。



 下にあったもう1枚は、俺の名前を書き入れて、受付嬢が受領済みの箱にしまい込んだ。



「依頼書は、契約書も兼ねるので、依頼中になくさないようにしてください。失くした場合、依頼は不達成になります。達成条件は依頼書に書かれているので受ける前によく確認してください。達成後、依頼書を窓口に提出してもらうと、達成報酬が支払われます。では、初期武器の支給をさせてもらいますね」



 受付嬢は一礼すると、カウンターに武器を並べ始める。



 並んでいる武器はっと……。



 剣・ダガー・斧・槌・槍・弓・大剣ってところの基本的なやつか。



 でも、これも試遊版で使い込んだやつを選ぶことにする。



 使うのは、大剣だ。



 ガード機能があり、ダメージ量が大きくクリティカル攻撃の期待値も高い、パリィもできて、カウンターアタックも発動させられる。



 俺のための武器だと言って過言ではない。



「軽いな……」



 試遊版のキャラではあれほど重く感じた大剣を手にしても、スキルの影響で羽毛のような軽さでしかない。



 2~3度振ってみるが、やはり軽い。



 まぁ、タイミング取りに影響が出るほどでもないか。



「お決まりでしょうか?」



「ああ、これにする」



「では、無事にご依頼達成されることをお待ちしてます」



 抑揚のない声だから、やっぱ人っぽくないな。



 試遊版で街にいたNPCの方がまだ人っぽかった。



 まぁ、でもこれはこれで、なぜか気になる声なんだよなぁ。



【報酬:回復ポーション(小)×5 魔力ポーション(小)×5 スタミナポーション(小)×5 荷物鞄】



 チュートリアルが進み、報酬が目の前に現れた。



 赤がHP回復、青がMP回復、黄色がスタミナ回復ってのは、試遊版と同じっぽい。



 すぐに試験管のような瓶に入ったポーションを荷物鞄の中にしまい込んで、肩から掛ける。



 武器もポーションも手に入ったし、あとは敵を倒すだけか。



【チュートリアル4 魔物を狩れ】



 チュートリアルがすすみ、マーカーが目的地までのナビを始める。



 広場の方に戻る感じか、たしか巨大な鐘楼がある神殿みたいな場所があったはず。



 目的地は地下墓地だし、そっちの方か。



 大剣を担ぎ、冒険者ギルドを出ると、来た道を戻っていく。



 広場の噴水を抜けると、巨大な鐘楼しょうろうを持つ大神殿が姿を現した。



 その大神殿の前に、長い髪と豊かな髯を蓄えた雄々しい男性の神像が立っている。



 あれが大神バレンティヌスか……。



 V・F・L・O世界で主神を務めている神だったはず、ラスボス扱いの魔王とは犬猿の仲で、人族と魔族は未だ争っているとか書いてあったな。



 神像の脇を抜け、マーカーが示す先に向かうと、ゴブリンたちが潜り込んだと思われる地下墓地への入口にたどり着いた。



 木々の揺らぎや、地下墓地から漂うかび臭い香りまで再現されてるのは、試遊版以上の出来だ。



 リアルな異世界とはよく言ったもんだ。



 向かう先の地下墓地の中は、薄暗くて雰囲気がありすぎる場所だな……。



 さすが、これから冒険するぜって冒険者ギルドに入った人が受けるチュートリアルイベントだ。



 近くに転がっていたランタンに火を灯すと、腰から下げて地下墓地の中に歩みを進めた。


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