第26話 ユンside:全ての人から愛される存在
アミが浮気などするはずがない。
俺じゃない誰か、違う男と付き合っていても
浮気なんてしないだろう。
わかってる。
それなのに、
メッセージを消していた事実が単純に苦しい。
消したメッセージの中に、
ジェヒョンからの誘いに思わせぶりな態度で答えている物があるかもしれないだろう?
このままだったら俺…捨てられるかな。
アミの事になると自信無くなるんだよな…。
ふっ(笑)
俺はやっぱり3ヶ月以上は付き合えないのか。
アミとは死ぬまで続くと思ってたのにな。
「あぁ!!くそっ!!」
――はっ!
駅のホームで電車を待ちながら声を上げてしまった。
怖がって逃げて行く人が何人か居た…。
スホまで離れた。
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練習中の俺は、まぁ、想像通り。
「お前何やってんだ!?やる気あんのか?ボールに触る資格は無い!コートから出ろ!」
入学以来初めて監督に怒られた。
ベンチに座っていると、監督はスホを呼んだ。
何やらスホが話している。
2人して俺をチラチラ見る。
監督に呼ばれた。
――でしょうね。
「ジェヒョンが居たって??」
同情する様な顔で聞いた。
「はい…。」
「お前何を見たんだよ。もう少しで殴りそうだったよな。」
「話せ。お前キャプテンのくせにこのままでは再来週の大会に出られないぞ。」
屈辱だが、話した。
「お前、アミさんと別れんの?」
「何で別れる必要があるんだ?(笑)バカだなぁ。何言ってんだ?お前。何の話だ?(笑)」
「だってこいつ、やってないって泣いてるアミさん置いてきてますよ。」
「は?ジェヒョンの話し本当なのか?」
「メッセージ消してるから、どんなやり取りしてたか分からないので…」
監督とスホは俺を見た後、顔を見合わせた。
「…………」
「…………」
「いやいやいやいや!ないない!(苦笑)」
「ですよねぇ(苦笑)」
「あるわけないだろう!!バカなのか?」
「そうだよ!そんなの信じるってさぁ。アミさん可哀想ぉ!」
「ユン、お前とりあえず解決してこい。今日はどうせ使い物にならん。」
「すみませーん!!!」
体育館に女の子の声が響いた。
振り返ると体育館の入り口にハナが立っていた。
「ユンくん!ちょっと良いですか!?」
監督を見ると
「行け。」
速攻言われた。
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「何で放ったらかしで帰れるの?」
「………」
「入学式から今まで1週間ちょっと。大学行ってバイトして、アンタにも会ってさぁ。アミにそんな時間あると思う?」
(わかってるよ…)
「アミ、あの後何したと思う?」
「…?」
「ジェヒョンに平手打ちだよ。」
「平手打ち?殴ったって事??」
「そうだよ。」
(か、かっけぇ…)
「ジェヒョン、アミもレギュラーもユンくんに取られて妬んでたみたいだよ。」
「妬んでた?」
「1年の最初からレギュラーだったのが許せなかったんだって。自分が出られ無かったから。」
「俺のせいなのか?(苦笑)」
「アミが、人のせいにするな!って、言いたい事を全部言ってたよ。」
「……。」
「それだけでは足りなかったみたいで…」
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・
――――――――――――――――
《ハナside》
アミでもこんなに怒る事あるんだ?
知らなかったな。
いつも腹が立つほど優しくて
やきもきさせられたりしてたけど…。
あ、そうだ、ユンには腹は立たないの?
アイツも大概だぞ?
「私、この人がサークルに居るならやめます。一緒になんて活動できません。」
「じぁ、俺も辞めます。」
「そうか、わかった。ジェヒョン、退部届を書きなさい。それからアミ」
教授はいつもと雰囲気が全然違う。
たぶん、あれは怒ってんだな。
「君の退部は許さない。ジェヒョンは悪いが辞めてもらう。アミはこのサークルに必要な人材だから辞めさせない。私の決定は絶対だ。従いなさい。」
ヒョヌ先生がサークル部屋にある書類ケースの中から退部届を出すと
ジェヒョンの目の前に差し出した。
「何で俺だけ…」
何だこいつ?
早く書けよ。
「書きなさい。和を乱す生徒はここにはいらない。」
ジェヒョンは渋々書くと、机と椅子を激しく動かし出て行ってた。
性格悪っ。
「先生。ありがとうございます。」
アミが笑ってる。
「先生は私を…止めてくれると思ってました」
・
・
・
――――――――――――――――
《ユンside》
「アミ、アイツを辞めさせたんだよ。」
「で? ユンくんは何が出来るの? アミはアンタのために戦ったよ。」
返す言葉が見つからない。
「今日中に何とかしてね?長く悲しませたりしたら許さないから。」
「………。」
「ヒョヌ先生がアミを送る事になったんだけど、仕事が残ってるらしくて。終わるの待ってるからまだしばらく大学に居るばすだよ。じゃあね。」
ハナは体育館を出て行った。
監督の元に戻ると
「早く帰れ。」
と真剣な顔をして言われた。
・
・
更衣室に戻ってスマホを確認すると
ヒョヨン先輩からLINEが入っていた。
――――――――――――――――――
《LINE》
ヒョヨン:シオンにしばかれろ
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(は?(苦笑))
アルバムもあった。
(こんなアルバム名あるか?(苦笑))
【これで分かんないようなら一回◯◯でこい】
(はいはい。)
全部LINEのスクショで、18枚にも及んだ。
――――――――――――――――――
JH:ユンと別れて俺んとこ来いよ
JH:あの頃しんどそうだったじゃん
今も楽しくないんだろ?
JH:ユン性格悪いだろ?
アミ:悪くないです
見る目無いですね
JH:一緒に映画見にいこうよ
――――――――――――――――――
アミ:行かないです
JH:なんで?
アミ:一緒に行きたいと思わないので
アミ:もう、本当に個人LINEやめて下さい
JH:やだね
[あっかんべースタンプ]
――――――――――――――――――
どんな言葉にもブレる事なく
はっきりキッパリと断っていた。
だからこそ、相談してくれたら良かったのにと
余計に悔しい。
早くアミの所に行きたくて、全部は読まずに急いで着替えた。
4枚目に読んだ内容が俺には嬉しくて
着替えながら不謹慎にも笑ってしまった。
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・
JH:返事しろよ!
アミ:私、暇じゃ無いんです。
あなたに10秒使うなら
ユンくんに1秒を使った方が
ずっと有意義です。
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――――――――――――――――――
アミの事は、出会った瞬間から好きだった。
藝大までの道のり。
アミの事を恋愛感情を外して考えてみる。
人と関わる時、ついつい笑ってしまうって感じでニコニコとしている。
俺みたいに仏頂面ではない。
人の話を一生懸命聞く。
自分の意見ははっきり言う。
理不尽に人を嫌ったりしない。
悪口は言わない。
行動の全てが人への思いやりに繋がっている。
狙ってないんだよなぁ。
だから、みんなアミと関わると気分が良くなるんだ。
総じて、人たらし。
そりゃあ、俺、みんなに怒られるわ。
それから…
アミはいつも俺が1番で…
1番で…
「アミ…ごめん…」
藝大につくと構内は明るいものの、人影は全く無かった。
職員室もサークル部屋も覚えていない。
門でしばらく待ってみる事にした。
少し待ったら電話してみよう…。
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