第19話 心踊る夜

シオン達4年生最後のリーグ戦は

優勝で終える事が出来た。

今日で引退する4年生にファンは群がり対応に追われている。


挨拶もそこそこに会場を後にした。



決勝戦でのユンの活躍がよほど嬉しかったのだろう。

車の中でお父さんは機嫌が良かった。



「今日のシュート決定率は、ほぼ100パーセントだったね。」


「外れるイメージなかったな。」


「いつもあぁなら良いんだけどなぁ(笑)」


「まぁ、ね…(苦笑)」



「しかしアレだねぇ。アミさんは素直な子だから、泣き方も豪快だねぇ(笑)」


「そうなんだよ。恥ずかしいんだよね(苦笑)」


「あれは、ちょっとねぇ…。」


「あの…。すみません(恥)」


「高校ん時から全っ然!変わってない(苦笑)」



高校2年生の時

読書感想文のコンクールで地方と全国での入賞を目指していた。

題材に選んだ小説を、公園のベンチで読んでいてユンの隣で号泣した事があった。

ほんのちょっとケンカになりかけたんだっけ。



「でも、ユンはそんなとこも可愛いんだろ?(笑)」


ユンは嫌な顔をして頭を掻いた。


「自分に無いものに惹かれるものだからね(笑)」


・ 


お母さんは、ユンがシャワーを浴びている間に、手早くキムチチャーハンを作ってくれて4人で食べた。



ユンは1試合だけだったが、とてつもなく体力と集中力を使った様で、部屋に戻ると眠ってしまった。


私はユンの部屋でスマホで動画を見たりゲームをしたりして時間を潰していた。



1時間程経った時、ユンは不意に起き上がると部屋を出て行った。


3分後、ペットボトルの水を飲みながら戻ってきてまたベッドに戻った。



「アミ。」


「ん?」


「おいで。」


掛け布団をめくり私を呼ぶ。

嬉しくて笑ってしまう。


「ふふ(笑)」


「ふん(笑)」


私に布団をかけて抱きしめてくれた。


「私も眠たくなってきちゃったな。」


「俺まだ寝るよ。ふぁあ。」


「じゃあ、私も寝ちゃお…。」


一緒に眠ってしまった。



「◎※☆♪℃△$○!」



(??)



「………い!……に、し…!」


(ん?)


「う〜…ん?」




「ちょっと!!」


(はっ!やば…)



「起きなさい!あなた達いい加減にしなさいよ!」


「はぁ〜。わかった、わかった。」


「ご飯だから。降りて来なさい!」


「はいはい、わかったから。」




――パタンっ。




「ふふふふっ(笑)」


「くくくっ(笑)」


「やっちゃったね(笑)」


「もう良いよ!今日から一緒に寝ようよぉ(笑)」



夕食と入浴を終えてユンの部屋で過ごす。

私用の布団を無視して2人でベッドに入っていた。




「明日何するかまだ教えてくれないの?」




2人とも大学は春休み。

大きな大会が終わり、明日のバスケ部のスケジュールはオフになっていた。

私も予定は入れてない。



「練習で忙しくて当日にはしてあげられないけど、月曜日に1日デートの計画を立てている。」



と言われていた。


ホワイトデーのお返しをしてくれるらしい。



「まず、9時に家を出るだろ? んで、ランチする店の近くのラブホに行って…」


「あはは(笑)普段と変わらないじゃん。」


「お預けくらってるからな。」


「それは外せないのね?(笑)」


「それ有りきだろ。デートは。」


「まあ、そうゆう事にしといてあげるよ。」


「でも、行こうと思ってるラブホって女の子に人気あるんだってよ?」


「そうなの!?それは楽しみだなぁ♡」


「あとは内緒。」


「まだ内緒〜?(笑)今日楽しみで寝られないかもっ。遠足の前の日の夜みたい(笑)」


「あ、明日アミは財布出さなくて良いからね。」


「えぇ?それは悪いよ(焦)」


「ホワイトデーのお返しだし、俺の計画だから。」



楽しみにしているせいなのか、昼寝のせいなのか、はたまたバスケ部が優勝した興奮からか

なかなか眠れなかった。

それはユンも同じで何度も寝返りを打つ。



——寝ないと明日キツイよ。



頑張って目を瞑る。


ユンの方が先に眠った。

寝息を聞いていると安心する。


自分も知らない間に眠っていた。


アラームで起きると、2人はテキパキと準備を始めた。

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