第5話怖がりで嫉妬深いヤンキー彼氏の話。
「二年の紫乃宮さんですよね?」
「そうですけど…。」
大学の授業終わりに声をかけられた。
今日の授業は午前でおしまいだ。
「僕、紫乃宮さんのことずっと気になってて。良かったらこの後どっか行きませんか?」
「すみません、この後予定あって。」
「少しでいいんで!行きましょ!」
食い気味にこられて困惑する。
この後は桃瀬くんの文化祭があるため急いで向かわなければならない。
「律さん、乗って!」
「瑠衣…なんでここおるん?」
「いいから行きますよ!」
車に乗ってきた弟分である如月 瑠衣により手を引かれる。
「そーゆー事やからごめんな。」
「あ、はい。」
相手を取り残し車に乗る。
「律さん、流石に危ないです。あれナンパですよ?!」
「そーやったん?気づかんかったわ。」
しっかりして下さいよ、とため息を疲れてしまった。
「でもありがと。時間間に合いそうやわ。」
「…いえいえ。てか、桃瀬さんから連絡来てないんですか?」
照れ隠しなのかすぐに話題が変えられる。
「『門の前で待ってます』って。そのまま一緒に回れるっぽい。」
「ラブラブですねー。羨まし。」
「寂しいんならみーちゃんに構ってもらい。今日はもうあがってえぇから。」
クスッと笑いながら答える。
そんな他愛もない話をしている間に学校に着いた。
「ありがとね、気を付けて帰りよ。」
「はい、律さんも楽しんで!」
そう言って帰って行った。
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「先輩!」
「桃瀬くん、お待たせ。」
待ちに待った文化祭の日。
先輩が大学終わりに来てくれた。
「もう俺の仕事は終わったんでゆっくり回りましょ!どこ行きたいですか?」
「んー、お化け屋敷とかもあるんやろ?」
いたずらっぽく言う。
「行きませんから…絶対。」
「残念やなぁー。」
久しぶりのこの感じが嬉しかった。
が、怖いものとなれば話が違う。
「紫乃宮先輩…?」
「あ、優太くんやん。久しぶりやなー。」
仲良く話す先輩達に少し嫉妬する。
高校にいた時は学園のマドンナ的存在だったからな…。
「紫乃宮先輩この後クラス来てくださいよー。みんな待ってたんですから!」
「え…。」
二人きりで回れないのは…少し寂しかった。
「ごめんな、この後彼氏と二人でお化け屋敷行こーと思いよるから。最後に寄るわ。」
「…紫乃宮先輩ならそーゆーと思ってましたー、待ってますからね!桃瀬も片付けくらい手伝えよ!」
そう言って優太は走って行った。
「みんなのとこ行かなくて良かったんですか?」
「久しぶりのデートやから二人が良かったんやけど、みんなのとこ行きたかった?」
「いや、二人がいいです!!」
勢いで恥ずかしいことを言ってしまった。
「…なら良かった。」
心做しか先輩の顔が少し赤くなっていた気がした。
「ほな、お化け屋敷行こっか!」
「それだけはご勘弁を!!!」
とは言いつつ、この後行く事となった。
「ぎゃぁぁぁあああ!!!」
「桃瀬くん走らんで!」
終始先輩大爆笑の地獄を味わった。
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