第2話ちょっと怖い先輩彼女の話。
「先輩…助けて下さい…。」
俺、桃瀬 蒼人は先輩彼女である紫乃宮 律に電話で助けを求めている。
「成績ヤバすぎて次のテスト悪かったら追試あるんです…そしたらデート行けないかもで…。」
『それは困ったなぁ…。日曜日午後からバイトやけどそれまで時間あるし勉強会する?』
「いいんですか…?」
『いーよ。教えれるか分からんけど。』
て訳で先輩と勉強会することになった。
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「これは前から訳してみ?」
「…出来ました!」
「そーそー、そっちの方が分かりやすくなるやろ?」
現在ファミレスで先輩と勉強中。
思っていた数千倍の分かりやすさに驚く。
「これなら追試も回避出来そうです、ありがとうございます!」
「お役に立てて良かったわ、頑張ってな。」
にこっと笑うその姿だけで頑張れそうな気がする。
「あ、そろそろ時間やわ。また結果聞かせてな。会計先済ませとくからゆっくりしーや。」
「え、俺が来てもらった側だし奢りますよ。」
バイトの前に来て貰っておいて奢らせるなんて面目が立たない。
「テストの願掛けやと思って大人しく奢られときー。その代わり次のテスト終わったらデート楽しみにしとるから。」
「先輩…好きです、ほんとにありがとうございます。」
「!…私も好きやで。じゃ、またね。」
いきなり言ったせいか先輩は戸惑いながら顔を赤らめてそそくさと店を出た。
先輩が外に出て見えなくなるまで手を振った。
「蒼人!!今の美人誰?!」
「優太?!なんでここに…。」
そこにはヤンキー仲間の優太がいた。
「その前に、誰さっきの美人?!」
「俺の彼女。俺らが一年の時の三年の先輩だったよ?紫乃宮先輩、覚えてない?」
「あぁぁぁぁぁぁ!王子の紫乃宮先輩か!!あんな綺麗になってんの?!俺も狙ってたのにー!!」
先輩は高校時代からきらきらしていて周りから『王子』と呼ばれていた。
当時のショートサラサラ髪から現在ミディアム丈のパーマヘアに変化した。
「…俺らの王子を奪いやがってー!」
「俺だって頑張ってアタックしたんだよ。」
鈍感な先輩のせいで色々空回りしちゃったけど。
「その話はまた聞かせろ!今日はそんな話しに来たんじゃねーの。」
「優太から聞いてきたんだろ…で、何?」
俺が言うと優太が物々しい顔になる。
「この前言ってた𓏸𓏸高校に弥生組が乗り込んだやつあるだろ?あそこのリーダー島流しにあったとかで行方不明らしくて。」
「𓏸𓏸高校、弥生組になんかしたのか?」
「それが何も分かんなくて。でもあそこの高校大荒れで他の学校も迷惑してたらしいから結果オーライ…?」
弥生組の恐ろしさに気が引ける。
「怖えな…。」
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「当主、おかえりなさい。もう皆さんお揃いです。」
「了解。ほな行こか。」
私、紫乃宮 律は弥生組当主。
今日は
普段は離れである一軒家に一人で暮らしている。
「待たせてごめん、始めよっか。」
「早速聞きたいのですが𓏸𓏸高校のヤンキー達を潰したってのは本当ですか?」
弟分である如月 瑠衣キサラギルイが声を上げる。
小柄な体格ながら喧嘩の強さはピカイチ、私の三個上だ。
「ほんまよ、みーちゃんに頼んで潰しに行ってもらった。なんで気になったん?」
「律さんがそんな手荒なことするのは珍しいなと…。」
「そーやなぁ…彼氏くんに喧嘩仕掛けて可愛がってもらったみたいやからお返しせなあかんと思って。」
私が淡々と述べることに皆驚愕している。
「…お言葉ですがそんな事で喧嘩を起こしては駄目です!律さんが当主だと言うのは極秘情報ですし、バレたら身に危険が及ぶ恐れだって…!」
「分かってるよ。でも、高校生で薬物扱うのは流石にあかんやろ?」
「…薬物?」
ポケっとした表情で首を傾げる。他の幹部たちもよく意味が分かっていないようだった。
「宮野の方から説明させていただきます。律さんに言われた通り𓏸𓏸高校について調べてみたところ闇組織から薬物を不正に入手し、売り捌いている事が分かりました。被害者数は述べ百名以上、組織壊滅に至らなければそれ以上に増えるところでした。」
宮野ことみーちゃんが説明する。
「律さん…そこまで分かってて…?す、すみませんでした!知ったような口を…。」
「えぇよ、心配してくれてありがと。」
しゅんとなった瑠衣の頭を撫でて言った。
その後、近況報告や業務連絡などをして幹部会はお開きとなった。
「律さん、少しよろしいでしょうか。」
「みーちゃんか、どしたん?」
母屋の当主部屋に荷物を取りに行った際みーちゃんに声をかけられた。
「𓏸𓏸高校のリーダーは弥生組の息のかかった刑務所に閉じ込めてあります。律さんの名前を聞いてしまったのでもう出られることは無いでしょうが。」
「そのつもりで聞かせたからなぁ。」
薬物の扱いで刑務所に入るのはせいぜい二、三年。
みーちゃんには言ってないがリーダーのことを独自に調べた際数しれない前科があった事を知った。
「恐ろしい事しますね…ほんと。」
「まぁ、今回のは大人気無かったなぁ。五、六年で出してええよ。」
まだ高校生やし…。
「それはなりません。報復で襲ってきでもしたらどうするんですか?!」
珍しく声を荒らげる。
みーちゃんは昔からとても心配性だ。
「そん時は助けに来てくれるんやろ?頼りにしてるで。」
桃瀬くんの次にな。
「…とか言って負けないでしょ。」
みーちゃんの照れた顔が可愛らしかった。
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