12/17(日) 首飾り

「あ、これ……」


 見覚えのあるカメオの箱を見つけて、わたしは思わずそれを手に取った。


「前に開けた、指輪の箱とお揃いじゃん」

「そうですね」

「同じブランドなの?」

「どうでしょう」

「え、もう一個あるんだけど」


 平たくて大きめの箱と、小さめの、しかし指輪の箱よりは少し大きい箱。近い位置に置かれていた二つと、指輪の箱も並べて、カメオを確認する。


「やっぱり一緒だ。同じ人の顔だし」


 昨日迷った木箱を開けてみようと思っていたが、こちらにしよう。わたしはそう思って、大きい方のカメオの箱を持ち上げた。蓋を開けると、中には例のガラスの首飾り。


「すごっ……王女様とかがするやつじゃん」


 空色とラベンダーと瑠璃とココア色が複雑にきらめく、不思議な色合いの豪華なネックレスだった。一番大きな楕円形のルースは青みが強く、その横に添えられている小さなルースは茶色っぽくと、ひとつひとつ少しずつ色合いが違って見える。金具は銀だろうか?


「きれー……」


 午前中に来てよかった。夕日の差し込む時間帯だったら、こんなに青が綺麗に見えなかっただろう。


「結婚式でするなら、こういうジュエリーがいいな」


 そう呟いて、ふと残りの二つに目が行く。指輪のデザインを思い出す。銀のリングに止められた青いガラス。ちょうどこの、一番大きいガラスと同じような色。


「もしかしてこれ……パリュールになってない?」


 そう尋ねると、店員は「そうですかね?」と片方の眉を上げた。


「セットで作られてるでしょ、絶対。なんでか知らないけど一個一個バラバラに売られちゃった、みたいな。だからこんなに寂しそうなんだよ」


 絶対そう! 哀しげに潤み光る首飾りを見せながらわたしはそう熱弁したが、店員は「同じブランドなんですから、似ているのは当然では?」と首を傾げた。


「絶対違う! ねえ、明日はこの箱開けるから。そしたら証明されるから!」

「どうぞ、ご自由に」


 店員が肩をすくめる。その理解のなさにわたしは憤然としながら、ぴったりくっつけて並べられた三つの箱に向かって「待っててね」と声をかけた。

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