第317話 新たなキャプテンはサイキッカーDF


 ※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。












 お馴染みのダークブルーのユニフォームの立見、GKは紫。


 横浜は白と青を基調としたユニフォーム、GKは黄色。



 立見高等学校  フォーメーション 4-5-1


          石田

           9


 氷神(玲)    緑山     氷神(詩)

  8        10      7


       影山   川田

        14    5


  水島   神明寺  間宮   田村

   4     6    3    2


          大門

           22



 横浜グランツユースチーム  フォーメーション 3ー5ー2


      ユンジェイ  宮下

        11     9


  千田      水戸     辰羅川

   7       10        2


       福丸   浜本

        8     6


    原山   高木   鈴本

      3     5     4


          見里崎

            1




「啓二!」


 真っ先に間宮へと駆け寄り声をかけたのは幼馴染の影山。


 間宮は頭を抑えたままフィールドに倒れている、地面へと落ちる際に受け身を咄嗟に取って衝撃を軽減出来たのが不幸中の幸いだった。


 この辺りは日々の合気道による賜物だ。


 しかしそれでも空中戦でユンジェイとの衝突までは回避出来ず、勢い良く競り合って来た相手とぶつかってしまう。


「立浪、準備しろ!」


「はい!」


 これを見た薫はすぐに控えDFの立浪へと交代準備を言い渡し、間宮を下げるつもりでいた。




「ってて…大丈夫だ、あいつ躊躇無く思いっきりぶつかってきやがった…」


 頭を抑えたままなんとか間宮は立ち上がる、特に出血といった怪我は無さそうだ。


 だが間宮の交代に変更は無い、薫はそこを変えるつもりはなかった。


 やがて間宮から立浪への交代が審判に認められて試合開始から僅か1分足らずで下がる事となってしまう。


 開始早々にキャプテンの交代、これには立見内で動揺が走っていた。





「…おい弥一、この試合お前引っ張れ」


「影山先輩や田村先輩じゃなくて僕で良いんですか?」


 キャプテンの間宮が抜けるので誰かが代わりにキャプテンマークを巻かなければならない、それを間宮は弥一へと託す判断をして右腕に付けていた腕章を差し出す。



「皆を見てきて誰が纏めた方が良いのかぐらい此処まで一緒に過ごしたんだから分かるに決まってんだろ、そんでお前が適任だと思っただけだ。来年の事もあるしよ…」


 来年になれば間宮も卒業し、遅かれ早かれいなくなる事は変わらない。その後を受け継ぐ者として弥一は選ばれたのだった。


「分かりました、じゃあキャプテン務めますねー♪」


「軽いな…らしいっちゃらしいけど」


 弥一がキャプテンマークを受け取ると間宮はフィールドから出る前に再び弥一へと声をかける。


「弥一、あのキム・ユンジェイって奴気を付けろ。今まで当たった相手の中で段違いの気迫だった、情けねぇ話だけど…この俺とした事が気迫負けしちまったんだ」


 ユンジェイが厄介な存在である事、彼とのぶつかり合いを思い出せば鬼気迫る顔で来られて一瞬怯んでしまった。

 立見の闘将と言われる間宮が気迫で押される程だ、彼が本気で来てる事は弥一に充分伝わる。


 その後フィールドへと出る際に間宮は代わって入る立浪の肩を軽く叩き、後を託して下がっていく。



「間宮、念の為すぐ病院に行け。車は手配しておく」


「っす…」


 脳への衝撃、外傷は無いが後になって体に影響を及ぼす可能性があるかもしれないと薫は車の到着次第すぐに病院に直行するよう言うと間宮はそれに頷く。


 弥一に託した新たな立見による結果を見届けられずこの試合を去る事となったのだった。







「まさかいきなり間宮先輩が負傷交代なんて、流石にこんな事思ってなかった…」


「だろうねぇ、僕もすんごい驚いてるよ。キャプテン託されちゃったし。立浪はそのまま間宮先輩の空いた位置に入ってねー」


 大門と話し合う中で弥一は立浪へと守備の位置を指示、そして右腕に託されたキャプテンマークを巻いていく。


「まーこれが練習試合だからまだ良かったけどねー、公式戦のトーナメントだったら物凄いバタバタ物だよ」


 キャプテンマークを付け終わると弥一は皆へと向かって声をかける。



「皆ー!めっちゃ想定外のアクシデント喰らったけど平気平気!気にせず何時も通りやっちゃってー!イケイケGOGOってねー♪」




「ゆるっ…!」


 気合を入れるどころかむしろ力が抜けるような緩い弥一の掛け声に田村や川田はツッコまずにはいられず、影山は笑いをこらえていた。



「神明寺先輩がああ言ってんだから僕らも何時も通り行こうー!」


「そうそう、なんていっても後ろにあの人付いてくれてるからね!」


 氷神兄弟の2人にはこの声がけが効果あったようで彼らも続いて前線へと声をかけていた。



 間宮は闘志を前面に押し出して味方を鼓舞するタイプだが、弥一はマイペースに緩く盛り立てていく。


 同じDFでも2人のタイプは全く違っていた。




「(さてと、あのコリア・タイガーをどう狩り取ろうかな?間宮先輩に対しての借りを返してやらないとね…倍返しで♪)」



 弥一の視線はユンジェイを捉えている、どうやら今回狩るべき獲物が決まったようだ。


 日本のサイキッカーDFと韓国の虎の争いが此処から開始される…。





 ーーーーーーーーーーーーーーー


 弥一「サイコフットボール130万PVだー!」


 明「あ…やりましたね…」


 弥一「駄目駄目喜びが足りないよ明ー、めでたい時なんだから喜んでおこう♪」


 摩央「伸びてってるなぁ、やっぱ見てくれてるのは何時もありがたいよな」


 大門「本当にそうだよ、それが俺達の力となってくれるからね」


 弥一「ほら、明〜…」


 明「えー…これからもどうか応援の方をよろしくお願いします、俺達も力の限り精一杯頑張っていきますから…これに慢心せず進んでいきたいです…」

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