雪の足跡踏み外すまで

@gyakuryuseisyokudouen

第1話

「雪乃〜あっちでも元気でねぇ〜。うちら寂しいー、着いたらすぐ連絡してね」

「雪乃、うちのこと忘れないでよ。今度遊び行くから。」

「雪乃ー。元気でねー。また遊ぼうねー。」

 はいはい、あんた達のためを思ってお節介焼いたりして、お母さんポジになったあたしが居なくなって清々するでしょうね、その口ぶりは。誰一人と感情がこもってないし、どうでもよさそう。

 荷物をまとめながら最後のお泊り会を楽しむみんな。私に、今までの恩返しと言ってみんなが手伝ってくれている。

 「見て〜新作のフラペチーノだって~。しかも期間限定だよぉ、買いに行こうよぉ。」

 そう言って、雪乃達に携帯を見せてくる萌香。人気インフルエンサーの彼女は流行に敏感で、自らの評価のためならなんだってする子だ。そのため、過剰なダイエットやパパ活など見た目やお金のために力を尽くしている。

「またそんなこと言ってたら、大会出れないよ。前回だって真面目にやってないからって出させてもらえなかったじゃん」

 荷物をまとめる手を休めず返事をする楪葉。彼女は、私達テニス部のキャプテンでいつも一生懸命練習している。自らを徹底的に追い込み、体が壊れるまで練習する彼女。大会で優勝したとき、親から初めて褒められた彼女は、過剰な練習に力を入れている。

 「ねーもう飽きたんだけど、お菓子食べていいー?」

 荷造りを放棄して、お菓子に手を付ける明海。彼女は二人とは真逆で、極度の飽き性で何事にも無関心。熱しにくく冷めやすい彼女は成績も危うく、進学できるかわからない。

 承認欲求をみたすためにどこまでもする萌香。親の愛情のために無理をする楪葉。何事にも無関心な明海。彼女達の将来や身のため、雪乃はお節介を焼いていた。

 どうせ、その態度は自分の判断に口出しするなと思ってたんでしょ。萌香と楪葉は、それらが自身よりも何よりも大事なんだろう。

 「ね〜、雪乃さっきから喋ってなくない?」

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