第10話
爆雷とはドラム缶のような形の装置で、海中に投下する直前、深度何メートルで爆発させるかを決めるダイヤルを回しておく。
あの時きっと日本軍は、それを30から40メートルに合わせていたのだろうが、どこにだって、あわて者がいる。
だから爆雷の1個が、なんと60メートルの深さに誤って設定されたまま、水面を破って落ちてきたのだ。
そして僕たちは、ちょうど60メートルの深さにいた。
すべてが本当に思いがけないことだった。
僕を胸にかかえて全速航行中、突然コバルトは目の前に1個の爆雷を発見した。そしてギリギリのタイミングで回避しようとした。
つまり体を丸め、爆雷にクルリと背中を向けたのだ。そして爆雷が爆発した。
水中であっても、爆発時には、目もくらむまぶしい光が出るのだね。それに音も出る。
音だけでなく、圧力や衝撃波は水中をとてもよく伝わる。全身を巨大なハンマーでたたかれるようなショックに襲われ、コバルトはあっという間に気を失ってしまった。
このとき僕が感じた恐怖を想像してもらえるだろうか。
気を失ったコバルトは、すぐさま無人の飛行機のように降下を始めたのだ。いや、深海へ向けての墜落と言うべきだ。
このままでは、僕が生存できる深さなど、あっという間に通り過ぎてしまう。
しかもコバルトの両腕はまだ僕をしっかりと抱いたまま、僕には脱出する方法もないのだ。
恐怖のあまり、僕もそのまま気を失ってしまった。
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