第5話
この日も僕とコバルトは、いつものように潜水艦を追跡していた。
しかし毎回同じ仕事ばかりで、コバルトじゃなくても退屈していたのだろう。こんなことを言い出した。
「お前が所属して、この私をコキ使っている部隊のことだが、なぜ『ストロベリー』なんて名なんだ? この仕事と赤い果実にどういう関係がある?」
僕は答えた。
「そうじゃないよ。秘密の部隊だけど、何か名称を付けなくちゃならない。スパイの目をごまかすために、できるだけ海とも人魚とも潜水服とも関係のない単語を選んだんだってさ」
「それでストロベリーか? まさかお前の祖父がそう名付けたのではあるまいな」
「お祖父さんの仕事ぶりなんか知らないよ。ただ僕が知っているのは、お祖父さんは息子に自分の跡を継がせたかったけど、女の子しか生まれなくて、その後は孫に希望を託したんだけど、孫たちも軍人には興味を示さなかったんだよ」
「それでどうなった?」
「お祖父さんはついに『だれか孫の一人でも職業軍人の道を選ばぬ限り、ワシの遺産は誰にも相続させないぞ』と宣言してしまった」
「絵に描いたような老害だな」
「だからみんなで作戦を練り、不運な一名を人身御供に差し出すことに決まったんだよ」
「それがお前か?」
「できるだけ競争率が低くて、楽そうな部隊に願書を出したら、それがストロベリーだった」
「まさか、ストロベリーがサイレンと協力する部隊だとは夢にも知らなかったのか?」
「知ってたら入隊してないよ」
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