第4話
僕が訓練校を卒業したのが、ちょうどこのころ。
でも卒業といっても、生活に大きな変化があったわけじゃない。
身分が学生から正規兵になり、少尉という階級がついたくらい。
相変わらずコバルトとコンビを組んで、世間どころか、家族にだって自分の仕事内容を打ち明けられない日々は変わらない。
世の常識的な人々の間では、もちろんサイレンなど実在しないことになっている。
どこの動物園へ行っても水族館へ行っても、サイレンなんか展示していない。
だが実在するのだから仕方がない。
最初に目撃した人はさぞかし驚いただろうが、すぐさま海軍に連絡が入り、大ケガをして砂浜で死にかけていた個体が秘密裏に収容されたのだ。
そこから研究が始まり、やがて回復したサイレンが協力的だったこともあり、ストロベリー部隊が設立されて現在に至っている。
子供の頃の僕は弱虫で、お化けでさえ怖かった。真夜中に一人でトイレに行くのも苦労したほどだ。
それが今では、サイレンなんて怪物と一緒に海に潜っている。
すべてがまるで夢のようじゃないか。
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