名和屋家の因縁ネタバレ回

 名和屋家は生贄供儀をすることによって繁栄した家の末裔である。

 最後の七億不思議が名和屋家に居座るようになってから、名和屋家には名和屋ムスメと同じような、霊能の力を備えた人間が生まれるようになった。

 彼らは家の外、名和屋郷の外の社会で七億不思議を祓って尊敬を集める反面、二十年に一度の生贄供儀を続けて名和屋郷の周りの人間に恐れられた。名和屋家の中にいた守り神だったはずの七億不思議は、周りの人間が去っていくことを引き留められないほど弱体化して名和屋家に祟る七億不思議「ナワヤノムスメ」に変質した。

 だから七億不思議である残留祈念に自己承認欲求を暴走させて、「成し遂げたいこと」の実行を強制させられた名和屋サトルは自分の相罠にして家族内唯一の一般人である名和屋カナエを家から引き離そうとした。

 だから一般人である藤沢マリカはリキカズのことを『普通に一般人のように暮らしたいなんて、高望みに挫折してしまった』と評した。名和屋家の因縁から逃れようとして、つてをたどりマリカの家に養子に入った藤沢リキカズは元をたどれば呪われた家の子であったから。

 だから名和屋レイ夫婦は──名和屋レイは、嘆く妻に『父さんが死んだのはナワヤノムスメのせいであり、もとをただせばうちの先祖のせい』と言ったのだ。

 

 全部全部、名和屋家が悪い。そう結論付けて絶都に居を構え、村の名主として守らねばならない土地を捨てたのは彼だから。

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