名和屋家の先祖、よくできま死た!
むかしむかし、この国のどこにでもある山奥の、どこにでもあるような山村の一つである名和屋郷での話である。
「山菜を取りに山奥に行ったら、くそでかい塊が喋ったァ!?」
名和屋郷の名主である、名和屋
「そうよ、嘘じゃあないわふきのとうの生えてる沢の、手前にでんっと居座ってるのよ兄さん、あんたどうにか決めなさいよ」
ぷんぷんと怒る
「はぁー? そういう変なモノをやっつけることができるのお前だけやろ! 兄さんの手を煩わせるんやないわこのたぁけ」
「はぁー!? ドッ祓った後に報告してたらどうせ『勝手なことをするな』って怒るんじゃない! ちゃーんと報告してあげた妹に感謝してほしいわこの石頭!」
名和屋
化け物と呼ばれた七億不思議に対処できる唯一の戦力、あるいは人知の埒外にある力を持つ化け物じみた存在──郷の人間が、彼女にどんな目を向けたかは名和屋家の縁起には伝わっていないし、
──しかし、兄妹が帰ってくることがなく、代わりに名和屋郷に来たのはぶよぶよとした一人分の人型だった。
『山奥に生まれて、人のことばもなにをするかも学べずに難儀していたところやった。のこのこ来た奴がいて助かった』
『ナワヤのものだと言ってたわ。恩を返すために、この家に居座り住民を守ることにするわ』
そう言って、ぶよぶよとした人型は──おそらくは
人の生気を吸う化け物を従えたということで、名和屋の家に従わない家はなくなり、家はますます繁栄した、めでたしめでたし。
名和屋家では、そんな話が伝わっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます