第16話 レオン・ランカスターの噂

今日は入学式、僕はこの日が無事に迎えられてホッとしている。

というのも入学までの8ヶ月間、入学式に出席出来ないのではないかと思ってしまう程忙しく、バタバタしてたからである。


──遡る事8ヶ月前


それは側近も決まり、安心してちょうど気が抜けていた時期のこと、、。


貴族達の中で、かるたブームが到来した。

僕が領地に帰った後、かるたにすっかりハマった王族が自分達と対局をすることのできる人を増やすべくかるたを布教し始めた。

その事をきっかけに、貴族達の間で「王族がハマっているというこのかるたというものはなんなんだ!」、「どうやら遊びながら文字まで覚えられるらしい。」と徐々にかるたの噂が広がり始めた。


噂が首都全体まで広がった頃、かるたを発明したのはレオン・ランカスターだと王族が公表した。


これは貴族達の間ですぐに話題になった。少し前にフェンリルと契約し、世間を騒がせた新ランカスター伯爵だったからこそだ。

貴族達はフェンリルと契約し、さらにこんなに画期的な発明をしたのがレオン・ランカスターだったという事を噂をせずには居られなかった。だって"あの"レオン・ランカスターだったから。



"今まで社交界でデビューもさせて貰えなかった可哀想な子"それが貴族達の思うレオン・ランカスターに対する以前の印象だった。

ランカスター伯爵夫妻についての話題は度々社交界ではあがっていた。勿論その内容は悪名高いものばかりだったのだが、、。

伯爵夫妻の息子、レオン・ランカスターについては違った。

"両親とは似つかず優しく気弱な少年"、レオン・ランカスターに実際に会った事のある貴族達は口を揃えてそう言った。

そんな彼を社交界でランカスター伯爵夫妻についての悪名高い話題があがる度に貴族達はひそかに心配していたのだ。


だからこそ貴族達は驚いた。


前当主とは違った意味で、とても当主には向いているとは思えなかったレオン・ランカスターが当主に着いた瞬間、フェンリルと契約したりこのかるたというものを作ったりと噂とは全く違っていたからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る