第13話 彼の能力

コツコツと靴音を響かせながら私は首領室へと続く長い廊下を歩いていた。


あの後、青宮さんに私はどうやって売人から情報を聞き出したか問いかけた。でも「秘密だ。どうしても知りたかったら首領に聞けばいい」とだけ伝えられた。


「……意味が分からない……」


私は小さくため息を吐き目の前のドアを3回ノックした。中からは「どうぞ」と聞こえ私は少し重いドアを開け軽く目の前に座る首領へ頭を下げた。



「……以上が例の売人からの情報です。」


「そうか……お疲れ様彗羽。燈李くんにもそう伝えておいてくれるかい?」


「分かりました……あのひとつ聞きたいことが。」


「聞きたいこと?なんだい?」


「……あの時私は青宮さんに耳を塞げと言われて塞いでいました。その後は……売人が自白しているように見えました。あれは一体なんなんですか……?」


「あぁ……彗羽は燈李くんの能力は初めて見るのか……」


「能力……?」


「この世には少なからず人とは違う能力を持つ人間がいる。この組織にもね。」


「じゃあ彼の能力は一体……」


「燈李くんの能力は観る者ヴィーディチ。効力は……瞳を見た者に命令を課しその命令に必ず従わせる事。」


首領の言葉を聞いて妙に納得した。売人がなぜ急に情報を吐き出したのか。青宮さんがそう【命令】したからだろう。私は小さく笑みを浮かべ「ありがとうございました首領」とだけ告げ自分の部屋へ戻ろうとした。その時「君にもあるよ彗羽。」と首領から告げられた。


「……まさか。そんな能力があればスラムなんかで暮らしてませんよ」



「まだ自分で感知出来ないだけさ。君はそのうち幹部の座に座るだろう。その時を楽しみにしているよ」


首領はにこりと笑みを浮かべながら告げた。

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