第8話 作戦立案


「さてと……始めるか。」


「はい青宮さん」


幹部会が終わったあと、私は青宮さんに呼び止められ青宮さんの執務室で作戦立案をする事になった。初めての作戦立案で上手くいくかどうかなんてやってみないと分からない。そう考えながら私は口を開いた


「まず捕らえるならスラム街がいいと思います。」


「あぁそれは俺も思っていた。何故ならスラム街は」


「「潜める所が多い」」


「……ですね。だとしたらこの辺りの地区が良いでしょう。」


「この地区……聞いたことがあるな。流浪者がよく集まる場所だって」


「えぇ。この地区はスラムに住んでる人もあまり近寄りません。大人たちからそう教わりますから」


「へぇ……ならここにおびき寄せるか。エサはどうする」


「……そうですね。エサは私がなります。」


「お前が……?」


「私はこの地区の土地勘もあるので……でもそうですね……何人か人手は欲しいです。」


「……駄目だ許可出来ない。土地勘があるなら人を配置するだけでいい。エサの役は俺がやる」


「でも……!」


「でもじゃない。作戦はこれで行く。」


「っ……分かりました。後ほど人員配置図を持ってきます」


「あぁ分かった。」


「……失礼します」


私は軽く一礼をした後彼の執務室を出て首領の執務室へ戻った。ほんの少し、ほんの少しだけ悔しさと何も出来ないという無力さを噛み締めながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る