第6話 幹部への顔合わせ


陸月さんに出会ってから数日後、私は首領からの指示で会議室?について行くように歩いた。所謂幹部との顔合わせというやつらしい。


「彗羽、前日に渡した幹部たちの資料は読んだかい?」


「あ……はい。一応名前は全て記憶しました」


「よろしい。」


首領はにこりと笑みを浮かべガチャリと重たげな音を響かせながらドアを開け私にも入るよう促した。私は少し躊躇いながらも中に入り首領の傍に立った。数分後には幹部であろう人達が集まり幹部会がすぐにでも始まろうとしている。



「首領、失礼ながら幹部会を始める前に一つだけよろしいでしょうか」


1人の男性……雫陸月さんがそっと手を挙げ首領へ意見を求めた。恐らく幹部でもなんでもない私についての説明だろう。


「何故ここに幹部でもない人間がここに居るのでしょうか。」


「ん?あぁ……皆に彗羽の事を紹介しておこうと思ってね。」


「そうでしたか……失礼しました。」


彼はその言葉に少し納得した表情を浮かべてからそう告げた。


「それにしても可愛らしい子を連れてきましたね首領?」


一人の女性がにこりと笑みを浮かべながら問いかけてきた。確か名前は鈴白紅奈すずしろあかなさん……だっけ。


「確かに。一体どこで買われたんです?」


……この人は確か青宮燈李あおみやとうりさんだっけ……というか私は買われたんじゃないんだけど……


「この子は買ったんじゃ無いよ。拾ってきた」


「……首領。なんかもっと言い方が良くないです。事実ですけど」


私は小さくため息を吐きながらそう告げれば鈴白さんは思い出したように口を開いた。


「そういえば少し前に首領お1人でスラム街の方へ出掛けていましたね……もしかしてその時に?」


「あぁ流石紅奈くん。その時に見つけたんだ」


「そうでしたか……それで?彼女はどのような立場で?」


「今は私の補佐として傍に置いている。これから仕事の仕方を覚えてもらっていく予定だ。彗羽、一応彼らに自己紹介をしておきなさい」


「えっと……彗羽……ですよろしくお願いします……?」


私がそういえば幹部の人達はこくりと頷いてくれた。私は小さく息を吐いたあと部屋から出ようとドアの方へと向かった


「彗羽、どこに行くんだい?」


「えっと……部屋から出ておこうかと……」


「このままでいいよ。君も幹部会に参加しなさい。首領命令だ」


「……分かりました。」


今まで【命令】とか言わなかったくせに……そんな事を考えながら私は首領の横に立ちこれから始まる幹部会に参加する事にした。



「それでは今から幹部会を執り行う」


首領のその一言で部屋の空気が一気に変わった。

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