第4話 シー・マリスタルへようこそ


蒼斗と名乗った彼は手早く付き人であろう女の人に指示を出し私は彼の部屋にある浴室へ連れて行かれ、されるがまま綺麗に洗って貰った。


首領ボス。全て終わりました」


「あぁありがとう……うん。綺麗になったね彗羽。新しい服も似合っているよ。」


彼はそう告げてゆるりと私の頭を撫でてきた。私は瞬きをしたあとこくりと頷いてみせた。彼が用意してくれた服は黒のブラウスに暗い赤のフレアスカートだった。


「さて……じゃあ傷の手当てをしようか。」


「……これくらい平気。手当ては要らない。」


「駄目だよ。このままだと治らないからね」


「……分かった。」


私はため息を吐いたあと頷き彼に促されながら椅子に座れば手慣れた手つきで私の足や腕に包帯を巻いていき「出来たよ」と告げてきた。


「そういえば…蒼斗さん……だっけ。貴方は組織の長と言った。さっきの女の人も貴方を首領って呼んでた…ここはどんな組織なの」


「あぁ……ここはシー・マリスタル。この翡翠門市の闇を取り仕切る。所謂マフィアだよ」


「シー・マリスタル…」


「そう。そしてここシー・マリスタルが君の新しい居場所だ」


「……分かった。でも私何も出来ない」


「これから覚えていけばいいさ。さて。ようこそ彗羽。君を心から歓迎するよ」



彼からのその言葉に私は頷き短く「よろしくお願いします首領」とだけ答えた。

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