第27話 ちーちゃんの人生 2

「私たちでどうにかなることでもないし、どうにかしてあげたいと思わないでしょ?」


「「うん」」


 ほらな。


「いくら家庭環境や学校生活に同情したって――」


「思ったんやけど」


 瑠璃さんの言葉を遮り、


「他のメンバーからも嫌われてそう」


 七奈は淡々と言うた。


「確かに」


 自分よがり。


 平気でメンバーを傷つける。


 いくら仲がいいとはいえ、や。


「うん、その通り。名推理だね」


「せやろ」


 誇らしげに胸を張る。


 いや、そこ喜ぶとこか? 七奈よ。


「せやけど、全然表には出してへん」


 彼女を無視して言った言葉に、


「それが普通よ」


 瑠璃さんはまた頷いてくれた。


 あっ。


 七奈みたいに私も思いついた、というか思い至ったことがあるんやけど。


「あの、マスゴミにちーちゃんのことを流したら……RAINbow自体がヤバイことなるんとちゃうの」


 全部ヤバイで片付けてしまう私の語彙力のなさは放っておいてくれ。


「大丈夫やろ」


「なんでやねん」


 おい、七奈。


 その自信はどっから湧いてんねん。


「絵梨ちゃんはソロでもやっていける歌唱力はあるし、バラエティでも率先して喋れるし」


「うんうん」


「せやね」


 あの子やったら芸能界で生き延びていけるやろ。


 他メンは知らん。


 それよりも大事なんは、


「樹那様はどうなるんやろか」


 ボソッと呟いた言葉は、


「そのことなんだけど」


 眉をハの字にして、申し訳なさそうにした優秀な探偵さんが拾ってくれた。


「ショックかもしれないけど、掴んだ情報があるの。聞きたくないなら――」


「いや、どんなことでも受け止める覚悟はとうにできとる」


 話遮ってすんません。


「折角調べてくれたんや。話してください」


 あんな、今回の騒動で私のメンタルは大分鍛えられたんや。


 その点だけはちーちゃんに感謝。


「うん、わかった」


 真剣な表情で頷いた瑠璃さん。


 少し部屋の空気が張り詰めたような気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る