第8幕 みんなのこれから

第27話 ちーちゃんの人生 1/2

「はい、どうぞ」


「サンキュー」


「あざっす」


 三人分のココアを淹れなおしてくれた瑠璃さん。


 ご厚意に甘えて口をつける。


 うん、身にしみるわぁ。


 ホッと一息ついたらさ、なんやどっと疲れが押し寄せてきたわ。


「なぁ、瑠璃っち」


「ん?」


 全ての疑問は解決したはずやのに、七奈は険しい顔をしとる。


 どないしたんや。


 まだなんかあるんか。


「この情報、マスゴミに流すんやろ? そったらちーちゃんのアイドル人生終わるやろね」


「うん」


 頷き、


「学校だって居づらくなるでしょうね」


「あっ、忘れとった。アイツまだ高校生やん」


「せやで」


 二人に苦笑されてしもうた。


 しゃーないやん。


 情報量多いし樹那様のことしか考えてないんやもん。


 てかさ、


「高校生とはいえ未成年に手を出した事務所のクソ野郎ヤバイな」


 よう考えたら。


 激ヤバやろ。


 ファンに手を出すアイドルならたまーに聞くけど。


 所属アイドルと付き合う事務所のヤツなんか聞いたことないで。


「ヤバイね」


 瑠璃さんも私と同意見。


 誰から見てもそうやんなぁ……。


「あっ」


「今度はなんや」


 なんか閃いたって感じで声をあげ、


「絶対グループ脱退させられるやん」


「ん? あぁ、そりゃそうやろ」


 マスゴミに情報流したら、ってことな。


「もしかしたら、芸能界に居続けられなくなるかもしれないわねぇ」


 急に呑気な口調になるやん。


 ま、瑠璃さんは樹那様信者やしな。


 正直アイツのこれからなんてどうでもええんやろ。


 私も一緒や。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る