第25話 情報源 2

「まぁ元マネさん、ギャンブルで結構な額の借金を作ってたみたいでね。退職金という名の、多額の口止め料を受け取っちゃったの」


「おーん」


 同情心がちょっと薄れてしもうた。


 借金あったんかいな。


 額はわからんけど、そりゃ多額の口止め料を提示されたら、


「素直に受け入れて辞めた方が利口か」


「うん」


「でもさ」


 頷いた瑠璃さんに七奈が眉間に皺を寄せて言った。


「なんで今回話してくれたん。口止め料もらっとんやったら、中々話してくれへんかったんとちゃうの」


「そうなんだけどねぇ……そこはさ、お金で解決よ」


「おっふ」


 ごめん、元マネさん。


 お前口軽いな!


 私らにとっては好都合やけども。


「残っていた借金を完済できる額を渡したら、ぜーんぶペラペラ喋ってくれた。あ、匿名を条件に」


 この探偵さん凄いわ。


 何回でも褒める。


 仕事やないから、お金の出どころは勿論ポケットマネーやろ?


 そこまでして情報を掴んでくれた。


 さっすが樹那様信者。


 って、


「ほな、私らに話したらアカンやん」


 匿名を条件やのに。


 私らに教えてもうてるし。


「てへ」


 急にちょけるやん。


 さっきまで大人らしく見えとったのに、幼さ全開や。


 この人自分の顔を武器にしてんな?


 知らんけど。


 童顔で警戒心解いて、お金で解決。


 やってることはヤバいとしか言えんけども。


 待った。


 ポジティブに考えよ。


 一生懸命調べてくれた探偵さんやもん。


 私らが他に話さへんって信用して、情報源明かしてくれたってことやろ。


 うん。


 そういうことにしようや。


「匿名って言うのはさ」


「うん?」


 急に真剣な表情になった彼女は、


「マスゴミに情報を流すときに、ってことやから。二人に話す分には大丈夫。貴女たちなら内緒にしてくれるでしょ?」


 もう、そんなニッコリ微笑んで可愛い顔して言われたら、


「「勿論」」


 首を縦に振るしかないやん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る