第13話 SNSライブStart 1/2

 21時59分。


 絵梨たんのSNSライブまであと1分。


「なんか緊張してきた」


「なんでやねん」


 七奈と電話を繋ぎ、私はパソコンから視聴する。


「わからんでもないけど」


「せやろ」


 はぁ。


 ため息をつく七奈。


 うん、思わずツッコんでしもうたけどな、気持ちはわかるで。


「あっ、始まった」


 画面に現れたのは、リーダーの絵梨たんと他のメンバー4人。


 そんでもって、


「樹那様!」


「樹那ちゃん!」


 まさかまさかの愛しの推し登場。


 樹那様をセンターに、左に絵梨たん、右にいずみん。


 後ろに3人が並んで座っとる。


「うぇーん、樹那様ぁ……」


「よかったねえ。久しぶりに推しの姿を観られて」


 七奈の優しい言葉が身にしみる。


 ホンマによかった。


 暗い表情やし、標準体型やったのにガリガリ手前まで痩せてしもうてるけど。


 兎に角、


「無事に生きとってよかった。あんなデマ信じんでよかった」


「ホンマにね」


 もう泣きそう。


 SNSで死亡説一瞬出てたねん。


 ライブの後は下火になっとったけどな。


 そんな情報信じてないで。


 せやけど、やっぱり不安やった。


「みなさん、こんばんは」


「「「「「「RAINbowです」」」」」」


「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ、樹那様の声!」


「うんうん」


 泣きそう……やなくて泣いとる。


 ちょっとだけ微笑んだ樹那様。


 あぁ愛おしい。


 大好き愛してるI LOVE YOU。


 涙で画面が見えん。


「って、あれ」


「ん?」


 七奈が不思議そうに言った。


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