第2幕 推しへの処分

第5話 正気か? 1/2

 七奈の家で話し合うこと数時間。


 夜、新幹線で自宅へ帰って爆睡……したかったんやけど、


「うっるさい!」


 布団を跳ね除けた。


 原因は鳴り続ける電話。


 あれ、デジャブかな?


 画面見たら相手は七奈やし。


 アイツは鬼電の化身なんか。


「もしも――」


「真優っち!」


「うっるさ」


 今日も今日とて鼓膜が破れそうなレベルの声量。


「ごめんごめん」


 こいつなんも学習しとらんな。


 まぁええわ。


「で、今日はなんなん」


「なぁ……」


 さっきまでの勢いはどこへやら。


 急に口ごもるやん。


「なに? また樹那様関連?」


 まさかな。


「その通りやねん」


「おっふ」


 オーマイガー。


 え、なんでなん。


 毎度私が寝ている間に事が起こるんはなんでなん。


「起きたてってことは、事務所の発表見てないやんな」


「は? 事務所の発表?」


 オウム返しすることしかできん。


 だって見てないもん。


「ちょっと今すぐ見て」


「りょ」


 布団の下敷きになっていたiPadを引っ張り出し、検索する。


「……は?」


 もう疑問符ばっかりや。


 仕方ないやん。


「謹慎処分って、おいおいおい」


 事務所のHPに書かれていたのは『弊社所属の林樹那について』。


 内容は言った通り。


 謹慎処分。


「しかも無期限ってどういうことやねん」


 怒りがふつふつと湧き上がってくる。


 私の大切な樹那様をよくも。


「意味わからんよな」


「頭おかしいやろ」


 意味わからんどころの話とちゃう。


 事務所の対応は完璧に間違っとる。


「あんな信憑性の薄い記事を事務所は信じたんか。有り得へんやろ」


「それがな、この記事見て」


 七奈からURLが送られてきた。


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