第45話 ポーラの願い
一回目は耐えたベッドも二回目の攻撃には耐えられず、破壊されてしまった。俺とポーラは、壊れたベッドのマットレスに座っている。
腕を組んでどうだと言わんばかりのフリソスではあるが、俺は頬杖をついて胡坐をかきお冠だ。
「お前な加減て物を知らんのか!」
「そんなものは、持ち合わせていない」
「持ち合わせておこうぜ! 何も吹き飛ばすことはないだろうが」
「やりすぎちゃったかな。てへへへ」
「てへへ、じゃないわ」
「あのぉー、書状は受け取ってもらえましたか?」
正座をしているポーラが話しかけてきた。二人ともその存在をすっかり忘れてたことに気づいた。
「それで受け取ってもらえましたかリコスさん」
ポーラは俺の耳元で語りかけてきた。すごくこそばゆいくて立ち上がり、フリソスの隣に移る。
「あっ、ああこの通り受け取ったさ」
「ところでさその書状は何なわけ?」
「はい、これは契約書になります」
「契約書?」
「あなたたちが言う旧王政派である『ザイオニクス』のとの契約書です」
旧王政派であるザイオニクス。非道残忍であり、国民に重い重圧をかけてきた国王を追い出した魔王が、この国の実権を握り取りまとめてきた。
それを拒む旧王からの恩恵を受けていたメンバー、それが旧王政派組織からなるザイオニクスだ。
その闇の刺客であるポーラ。そのポーラから渡された旧王政メンバーザイオニクスと交わされて契約書を手にしたわけだが、それがどうだというのだ。
「ご存じかもしれませんが、私たちはアサシンは個々の契約で動いています」
「私も魔王時代は、雇ったことあるし、よく知っているわ」
「魔王ですらアサシンを雇うことがあるのか?」
「もちろんだとも、ピザとかのフードデリバリーに」
「んだよ、出前かよ! もっと隠密行動とかに雇えよ」
「だって出来立てを運んできてくれるんだよ。 すごいでしょ」
「はい、私たちの力をもってすればフードデリバリーはお任せください」
「まてアサシンとしての自覚はないのか! ただの出前人に成り下がっているぞ。 アサシンとしての誇りをもてよ」
「でも出来て熱々を運ぶと喜ばれるのです」
なんて緩いアサシンなんだ。本職は出前で副業として隠密業務が主体なのかもしれない。
世界もこの国を除けば平和だもんな。平和な時代のアサシン業も大変だろう。呆れた俺は本題へ移ることにした。
「ところで本題なのだが、このザイオニクスとの契約書状なんだがどうすればいい」
「リコスさんが破棄してくだされば、契約は切れます」
「破り捨てろと」
「はい。 今回の敵陣であるリコスさんに廃棄されることで、契約は放棄されます」
俺は一応契約内容を一読し問題ないことを確認した。
「じゃ、破り捨てるからな」
「はい。お願いします……捕まった私は、煮るなり焼くなり好きにしていただいて構いません」
「煮るなり焼くなりと言ってもなぁ、フリソス」
俺とフリソスは考え込む、一応敵陣で隠密行動をして、幾度となく我々の邪魔をしてきた罪人でるポーラをここママというわけにはいかない。
「あのぉ、お願いがあるのですが、いいですか?」
「なに? 条件によってはのるわよ」
「私……処女なので……殺される前にリコスさんエッチなことがしたいです!!!!」
何てこと言いやがったこのポーラは。
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