第44話 書状をとったどー
「あのぉ、取ってくださいませんか。リコスさん、私はご覧の通り手がふさがっているので」
ポーラの手は後ろで拘束されており、胸元にある書状を自力で取ることは不可能である。
全身タイト黒い布で覆われて、一部がぽっかりと空いているのが、胸元だ。
「そんなの私がとってあげるわよ」
「それはだめです。女の人が触れないように、細工してあります」
「なによそれ、魔王たる私が……」
フリソスはポーラの胸元に手を近づけた。
「きゃー、なによ蛇じゃないの。私、にゅるにゅる系は好きじゃないのよね」
「そうなんです。私を含め女の方が触ると、嫌いな物へと姿を変化させる術がかけられています」
フリソスは、ばつが悪そうに両手を引っ込めている。
「だから、俺がとるしかないんだな」
「はい。やっ、優しくお願いします……」
ポーラは顔を赤らめると、細身の体をもじつかせていた。
だが出るところはきちんと出ており、スタイル抜群の体をしている。
体を揺らす度に胸元が開いていく感じがする。
「そうなると俺しかいないんだな」
「はい。リコスさんになら、取られてたとしても、本望です」
俺はフリソスの恐ろしい目でにらまれながら、ポーラの胸元に挟まている書状らしきものを引き抜こうとしている。
だがポーラが動くのに合わせて、書状らしき紙は胸奥にしっかりと挟まれいった。
「リコスさ~ん。ほーらこごてすよ。取ってくださいまし」
俺は生唾を飲み込むむと彼女の胸元へと、手を差し伸べる。
指先へと全神経が集中していくのを感じる。大胸筋にまで張り出した胸に触れてしまった瞬間、なんとも暖かくやわらかな感触であることに気づいた。
いかんいかん、俺は書状を取るべく手を出しているのだ。
これは脂肪の固まりにすぎない、頭の中でそう念じる。だが脂肪の壁は見事なまでに弾力を発揮しており、指が押し返されしまうほどだ。
俺はこの弾力に負けじと弾き返す。
するとやわらかなお肉に包み込まれていく。まるで肉まんの餡になったようである。
待て待て、我を忘れるところであった。フリソスの揺るぎないぶっ殺す視線が無かったら、脳細胞はとろけていただろう。感謝するぜフリソス。
書状を取りたいがどんどん奥へと入ってしまう。
「あっ、いゃん。リコスさんそこはダメ。違うところです。あっ、もう」
「ごめん。そこじゃなかったか。こっちかな」
「そこも違う! 気持ちよくなっちゃうから」
「こりゃー、二人とも何やってやがるんじゃ」
妖しい吐息を吐いているポーラと、あたふたしてている俺に、激怒りのフリソスの三つ巴状態。
これ以上やってるとさっきの呪文よりも被害の大きな攻撃が待っているのかと思うと、気が気でいられない。
狭い肉壁の通路を奥へと進むと、書状らしき紙が指先に触れた。
これだ。
だが厄介な事に、肉壁が邪魔をしてうまく掴めない。
「ねえ、いつまでやってるの?」
「いやそれがあともう少しなんだよ」
イラついているフリソスが、詰め寄ってくる。急ぎたい気持ちとは裏腹に、この感触を味わいたいと思っていたりもする。
「いゃーん……もう少し……ゆっくり……お願いしますね……」
甘い吐息をかける彼女に、屈している自分が情けない。
そう思うと、書状へとラストスパートをかけるべく突っ込むが、二本の指で取ろうとするから失敗するのだ。
ここか一気に五本指で勝負に出る。グイっと押し込むといともあっさりと書状へとたどり着いたと共に、彼女のぎりぎりはみ出ていた黒装束から胸がポロンと出てしまった。
薄ピンクのブラジャーが、露になったのはゆうまでもない。
「ちょっとリコス何しているのよ? 取れたのかしら」
これは見つかったらまずいだろ。慌てふためき黒装束を戻そうとするがピチピチすぎて戻せない。
その慌てる俺の姿を見て微笑むポーラは、至って冷静だ。
「取れたのかしら……何してんのリコス!!」
「これは違うんだ!勝手にだな……」
「問答無用!!!!!! レイ・ブランド!!」
またしても黄金色に展開された魔法陣が、ベッドの周りを包み込むと空高く飛んで行った。書状だけは手放さないように持っている俺ってえらいよな。
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