第42話 二人の美少女と一夜
「やっぽーリコス、まだ寝てないんでしょ、今日も飲もう……よ」
やばい、フリソスに変なところを見られてしまった。どうしよう。完全にこの子をベッドに押し倒している状態じゃないか。
いや待て、フリソスと俺ってどんな関係だ。そうだ仕事仲間……かな。ならば問題なんいんじゃないか。オフの時間に俺が何をやっているかなんて関係ないし。
待て待て、同僚であろうと、こんな場を所見られたら良くないんじゃなだろうが。これからのこともあるし、仕事に差し支える可能性もある。
「……リコス、これは一体……なにごと」
やべ、なんか怒ってないか。下を向きながら震えているぞ。フリソスが起こったところなんて見たことない。なにせ元々魔王だからな。どんな仕打ちをされるのか分かった物じゃないぞ。
穏便に済ませるべく行動するが、ここは正しいと判断する。
「いや、これは彼女に襲われてだな……」
間違いじゃないけど、状況的に嘘くさいセリフだよな。
「だ・か。ら、なにしてるのって聞いているの!」
フリソスは涙目になりながら、こっちをにらんでいる。やっぱり怒っているぞ。どうしたら穏便に済ませることができるのだ。
「それはだな、彼女はポーラって言うんだ」
「へぇー、そのポーラがどうしたらこうなるの?」
「部屋入ったら彼女が居てだな、おれは襲われたわけだ」
「襲われると裸になって、ポーラと抱き合うの?」
ややこしい。俺の服装がまた事態をややこしくしている。なぜ脱いだ俺よ。
「着替えている最中に襲われたのだ。そうだ」
「先にポーラが部屋に居て、着替えていた時に襲われて、ポーラを寝かしつけていた」
「そうだ……いや若干違うが近い状況だ」
もうめちゃくちゃだが仕方ない。押し切るしかない。
「ふーん」
「納得してくれたかな……」
「そんなので、納得できるわけないでしょうが!!!!」
──ごふぅ
思いっきり腹を殴られた。腹部に激痛が走る……。
激痛を抱えながら正座をして、俺は昨日の出会いから今までを濃厚に細かに話した。
「最初っからそれを言ってくれればいいのに」
「突然の状況が無かったら、話していたさ」
「男って変な隠し事するから、ダメなのよね。とっとと話しなさいよ。隠し事はこれで最後!?」
もう一発来るのかと思い、腹を押さながら身構えた。
「隠し事はもうない! すべて話した通りだ」
「まぁ、この私相手に当然よね。一杯飲もうか」
「おっ、おう……」
フリソスからグラスを受け取ると、茶色い液体の酒を注がれた。ウイスキーかバーボンってところだろうか。どちらもストレートで飲むのには、度数が高いな。腹にしみわたるぜ。
「ポーラを結局どうするつもりなのよ」
「それは……俺も困っていたところに、お前が酒もって来たって感じなんだ」
「私って入室が、ジャストタイミングね」
「そうだな。絶妙なタイミングだったな……」
あの腹へのストレートは、どの酒よりも効いたからな。もう味わいたくないほどのえぐりこむ様なストレートだった。
「とはいえこのままリコスの部屋に置いておくわけには……いかないしね」
チラチラとこちらを見ながら語るフリソスは、なにやらそわそわしている。
「だからって、彼女を外に寝かせるわけにもいかないしな」
「だったらさ、リコスが私の部屋で寝る?」
「部屋を交換するってことか。だがポーラは忍びの者だしいくらフリソスでも危険だ」
「そうじゃなくて……もう一つベッドがあるからそこで寝るかってことよ!」
この保谷はツインのセミダブルになったいた。二人で寝るのにはちょうどいいかもしれない。
「お前……一応、俺だって男だからな」
「それは私だって知ってます。だってあんたなら信頼できるし」
ニコニコ顔のフリソスは、グイっと一杯飲み込んだ。
「酔っているのか」
「この程度で私が酔っていると思っているの。ばかねぇ」
「やっぱり酔っているだろうが……」
「一杯二杯ぐらいで、この私が酔ったとでも」
テーブルにうつ伏せになっている時点で、かなり酔っている様子にしか見えんが。
俺がベッドに行くように促すと素直に応じた。介抱をしながらベッドへと誘導する。
「……あのさぁ、わたしこう見えても元魔王なんだよ」
「んぁ、それがどうした。今はこうして大切な仲間だろうが」
ベッドに着くと隣同士で座る二人。
「そんじゃあさ、こういうのもありかな」
フリソスはリコスの口飛世根を重ねる。
一晩で二人の女性とキスをするなんてな。
暖かく少しアルコール臭のする口からは舌が絡み合う。
「やっぱ今日は飲みすぎだろ」
「いいの……」
また唇が重なる。俺はゆっくりとフリソスの頭を押さえると、そっと枕へと誘導する。
その誘いを断ることなく完全に身を任せているフリソス。
枕にたどり着くと、主導権はリコスのモノになさった。
さぁ次はあなたからきてと、手を天高く伸ばし誘導するフリソスに答えるべく、リコスから今度は口を重ねる。
ねっとりと舌を絡め合う二人。
気がかりなのは、絡める舌が次第に弱くなっている点だ。
「んっ? フリソス」
「……すーぴー……」
「飲みすぎなんだよ」
俺は上半身起き上がると、緊迫した空気から解放されてホッとしている自分が居た。
このさきも進むと後戻りできなくなるだろうしなと、感じていたこともありこれでよかったと思う。フリソスの装備は外されていたので、掛け布団をかけてやり、俺はベッドを離れ二人が見える位置に移動すると床に腰を下ろした。
忍びの者だから油断はできない。いつでも切りつけられるよう、ショートソードをすぐに取り出せる位置に置きなおすと眠りについた。
だが、さっきの出来事のせいで、俺は眠りにつくことができず、フリソスの持ってきた酒をチビチビと飲みながら、下半身からこみ上げてくる何かを押さえつけている。
美少女二人がベッドで無防備な状態で寝ていることを考えないようにするので、精いっぱいのリコスであった。
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