第26話 脅迫状を受け取った。とさ

街に戻るころにはすでにフェリスさんのショックは回復し、いつもの調子で幼女の良さを語っていた。

だからそれがダメなんですってば。


「幼女は何といっても見た目だけじゃダメなんだ。純粋で無垢なところが素晴らしい。君にもわかってもらえてうれしいよ」

「いや、俺はそういうのよくわかりませんので……」

「食べず嫌いはいけないな、ティミィとティナを見てごらんよ。ロワーフ族の中でも至極の幼女だろ」


そう言われると思い返されるのは、先日の歓迎会での一夜のことだ。ティミィは上下お揃いのハーフトップ姿で隣に寝ており、ティナの上はキャミソールのみと体つきは、ティミィよりもさらに幼かった。

って、おいおい俺はなに想像しているんだ。


「俺はやっぱりわからないので……ってなに覗き込んでるんですか」

「君は今いけない妄想をしたね……。言わなくていい、お姉さんにならわかるから、大丈夫!」


フェリスさんは俺の顔を覗き込むとそういい。歩き出した。


「君という仲間ができて私は安心したよ」

「待ってください。本当に違いますからね!」

「君の思っている通りさ、愛の形は自由でいいんだよ。なんてすばらしいんだろうね」


俺は両手いっぱいに広げながら、愛を語り歩くフェリスさんの後を追う。

そこにティミィとティナがやってきた。俺は先ほどの姿を想像すると二人を直視できない。


「リコス大変だよ!」

「リコスどうしましょう!」


二人は慌てふためいている。だが俺は「どうした」とかしか言えない。誰かさんのせいで変に想像してしまうと二人のあられもない姿が重なり合う。煩悩だらけでな俺でごめんよ二人とも。


「リコスどうしたの?」

「私達何か変ですか?」

「いや……そういうわけじゃないんだ」

「リコスはね。二人のことが好きなんだよ」


そこに満面の笑みで、よけいな茶々を入れて来るフェリスが居た。


「そんなの知ってるよ」

「ええ、私達もリコスさんのこと……好きですからね、ティミィ」

「うん、そうだよ。好きだよリコス」

「ノゥーーーー」


なぜか一人で爆死しているフェリスを見ていたおかげで煩悩が吹き飛んで、二人を直視できるようになった。


「それで何かあったのか?」

「それがね。こんなものが届いたんだ」


一枚の手紙を渡された。俺は手紙を受け取ると読んでみた。


「──魔王の各地方訪問を中止されたし、さもなくば力ずくで排除する──なんだこれ!?」


今回の地方巡業は、信頼のおけるメンバーにしか話していないはず。どうして漏れたのか。

それよりも力ずくとある。手段は問わないイコール、戦闘もあり得るのだろうか。

元国王派の連中か、それとも肉塊の配下の者か。

ここで憶測を考えても仕方ない。俺達は王宮へと急いだ。


すぐに執務室に居たフリソスとリーファさんに手紙の件で話を進めた。


「あっそれね。力ずくってことは、やるときは仕方なくない?」

「私も付いていくことにしましたわ。多勢ならこちらも無勢ってわけにはいかないもの」

「俺としては犠牲者が出るのであれば、中止とかも考えてもいいのでは?」

「中止は、手紙の送り主の思う壺になるわけだし、あり得ない」

「そうね、私も同感だわ。相手が我々れの地方巡業を邪魔したいのではあればなおさら行く必要があるってこと」

「行かなくても、いずれは襲ってくることも。そしたら街はパニックです」

「リコス、行くしかないのでは? 脅しだけの場合もありますし」


確かにティミィやティナの言う通り、中止すれば相手は勢力はより増して、首都攻略を考えるかもしれない。それに脅しだけの可能性も捨てきれない。魔王相手に喧嘩を売ろうなんて、勝てない相手に石を投げたところで仕方ない。


「よしわかった。みんなの意見で、地方巡業は変更なしってことでいいな。とりあえず我々に地方へ来られるとなずぃってことは確かなようだし」

「「はーい」」

「異存なし」

「オーケーですわ」


俺の一言でこの案件は終了なった。

ただやはり気がかりなのは手紙にある「力ずく」という点だ。一体どんな力業で魔王に対抗して来るのかが気がかりだ。

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