第16話 豪遊している二人を制圧するんだ。とさ

俺達は地下のダンジョンから出るると、プールで豪遊している二人を見つけた。

ここはドーム型の室内プールだ。

地熱によって暖められた水をプールに引き込んでいるため、冬でもプールに入れる贅を凝らして作られた施設。

フリソスとリーファは、大胆な水着を着て日光浴中だ。

「今戻ったぞ」

「遅いぞ、リコス」

「あなたもプールで楽しんだらどうですの」

「わーいプールだ、プールだ!」

ティミィとティナは大騒ぎだ。「水着に着替えてくるね」と行ってしまった。

「地下の宝物庫があるダンジョンの攻略をしてきたところだよ。ていうかフリソス、国家元首としてどうなの?」

「どうなのって?」

「今この国を治めているのはフリソスだろ。プールで豪遊してないで働けってことだよ」

「それはリコスが、ちゃんと働いているから大丈夫」

「そうかもしれんが、今日のは大目に見るから明日からは働いてくれ」

「はい、は~い」

フリソスはやる気のない返事をするとうつぶせにり、水着のひもを解きだした。

「ちょいおい、何してるんだ」

「何って、リコス。オイルを塗って頂戴」

「あっ、ずるい私もおねがいしたいなぁ」

「あのなぁ、リーファさんはともかく、国家元首としての自覚をだな……」

フリソスのビキニのトップスは、完全にほどけている。

白く透き通ったような瑞々しい肌が完全に露出された。

俺は生唾を呑んだ。落ち着け彼女は魔王であり、今は国家元首だし、仲間だ。変な考えはしない。したくないぞ。

「明日から頑張るから今日だけはね。だからオイルを塗ってもらえるかしら……」

色っぽいその一言で俺は変に熱くなっていた。緊張のあまり手が小刻みに震えてしまう。

「……仕方がないな。今回だけだからな」

「うん」

俺はフリソスのベッド下に置いてあった、オイルを手に塗るとそれを艶々ボディに塗っていく。程よい加減で柔らかく程よい程度の肉付、筋肉質でもなければ太っているわけでもない体は、まさに食べごろ。塗ったそばからオイルが浸透していくのがわかる。

「いゃん。あぁ、リコスの手ってくすぐったいよー」

「悪い変なところ触ってしまったか」

「うんん。違うの。男の人の手ってゴツゴツしているから、それがくつぐったいかなって、でもそれが気持ちいい……かも」

艶っぽい声でしゃべられるとより一層緊張してしまう。これ以上は俺の体がもたない。

そんな時に救世主が現れた。

「わーい、着替えてきたよリコス。見て見て!」

「私も着替えてきました。どうでしょうか?」

ティミィとティナの登場だ。

俺はホッとして、二人が入ってきた入口を見る。

ティミィはなんて言うのだろうか。紺色のワンピース型水着でスカート部分にはヒラヒラのフリルがついているのを着ている。一方のティナは、ピンクと白の縞々模様の上下セットになっている水着にデニム地風のスカートを履いていた。

手には二人とも浮き輪を持参している。

「イッチバーン」

──バシャーン!

ティミィは浮き輪を体に通すと、プールへ走りこんで入って行った。

「こらティミィたら、ちゃんと準備体操してないのに、もぉ~」

「ほらおいでよ、ティナも」

ティナはちょっと起こりながらも、プールサイドにある梯子からそっと入水した。

二人は水をかけあったりしてながら、楽しんでいる。

「リコス。二人を見る目つきがやらしくて、口からはよだれ垂れてるわよ」

「……うそよ!」

俺は必至で口元を袖で葺いたが、よだれなんて出てなかった。

「くっふふふ。ロリコンじゃないみたいね。次は私の番なんですけどぉ」

くそー。リーファさんにやられた。

それは次にリーファさんにもオイルを一通り塗ると、一人真面目にしているのがむなしくなって、リリィに頼んで水着を用意してもらった。

「リコス早い早い!」

「すごいですリコス。がんばれー」

幼女二人に見守られながら、やってられっかよーって、フリーで一五〇〇メートルを世界記録迫る勢いで泳ぎ切った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る