第14話 王宮の下のダンジョンを制圧するんだ。とさ1
「ふぅ。食べた食べた。余は満足じゃ。あとはみんな任せた」
「おーいティミィ寝るなよ」
「そうです。あと少しで宝物庫ですよ」
「そうだったお宝~お宝~」
ティミィは現金な奴だな。とか思うけど、ここまで付いてきてくれる商人、いや友達は居ないだろう。ありがとうティミィ、ティナ。
「食べたことだし、そろそろそ出発と行きますか?」
「はい、行きましょう」
「お宝に向けて出発!」
後半も数匹のアンデットをやっつけるとダンジョンの最深部へと進めた一行は、『試しの門』と書かれた扉へとたどり着く。
「なんだこの試しの門ってやつは」
「リリィさんが言っていた。罠ってやつでしょうか」
「マップには書かれることができない罠、か」
扉を開けるのを躊躇ってしまう俺をよそ眼にティミィは躊躇なく扉を開けた。
「こら、待てって、罠があるかもしれないぞ!」
「…………」
とくに変化はないそうだ。ただ暗い廊下が続いていた。
「大丈夫みたいです……ね」
「弓矢とかが飛んでくるかと思ったから、焦ったよ」
「俺は待てといったろ、次からは守ってくれよな、って勝手に進むな」
ティミィとティナはスタスタと、廊下を進んでいってしまう。
「いつ罠が現れるか……」
その時、小さく「カチッ」と言う音共に、先頭を行くティミィの頭上スレスレを何かが走った。
──ブォーン!!
「うぁー、何に今の!?」
すぐさま頭を下げたティミィ。
俺は光を照らして目を凝らしてみると、それは巨大な回転カッターだった。
「リコス。私の頭の上に何があるの?」
「そこを動くな。巨大なカッターだ」
「えぇーーーー」
ティミィは頭を屈めてゆっくりとこっちに戻ってくる。
奥に光を当てて見ると、この先も巨大な回転カッタートラップは続いていた。
もし俺が先頭を歩いていたら、一瞬で胴体を真っ二つにされていたぞ。
どうやってこの罠を突破しようかと思案していると、隣にいるティナは至って冷静だった。
「リコス、大丈夫ですよ。ほら」
そういって回転するカッターへと歩みを進めていた。
「待て! ティナ。危ないぞ!」
ティナが犠牲になると思ってつい目をつぶってしまったが、よくよく見ると回転カッターサイズが合わないのだ。
ティナやティミィの伸長以上の高さにすべて設定されていた。
いわゆる大人用トラップ?と呼ぶべきかな。
俺はほっと胸をなでおろした。
「ティナ。目遅着茶心配したぞ。それにしても、二人の伸長ならこのトラップ役に立たないな」
「そうですね。リコスさんはハイハイしながら来てくださいね」
「ぷっ。ハイハイだって。リコス赤ちゃんこっちでちゅよ~」
「からかうなって、心配してんだからな」
俺達はカッタートラップを難なくクリアーした。
その後も試練は続いたが、弓矢やら丸太が飛んでくるトラップもあった。
どれもこれもすべて大人サイズに作られており、下ががら空きの設計だった。さすがに子供が来ることを想定していなかったのだろうな。
そしてたどり着いたのは、煌びやかな門である。
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