第11話 夜の皇帝陛下参上だ。とさ
翌朝、二日酔いとともに起きた俺は、右隣がやたら柔らかい感触なのに気づいた。
これほど感触の柔らかい感触は心地が良い。一方左隣は、右とは違った柔らかさだ。大きさの違いだろうか。小さな膨らみではあるもののしっかりと弾力を備えていた。
さてとこの二日酔いにちょうど良い柔らかさはどっちかな……まて、どっちかなじゃないだろうが。
俺は急ぎガバッと起き上がった。右隣にはフリソスとティナが寝ていた。
反対の左隣には、ミィティとリーファが寝ていた。
五人とも肌着のみの状態だ。
服を探したらベッドの隣にあるソファに脱ぎ散らかされていた。
俺はゾッとした。なんてことをやらかしてしまったんだ。
よりにもよって四人に対してとんでもないことをしてしまった。
あたふたしていると、フリソスが起き出してきた。
「……リコスもう起きちゃうの? 続きをしようよ足りないってば……」
俺の腕を掴むと引っ張られてベッドに逆戻りになる。
「……ちょっとぉ、おばちゃん……リコスは昔から私たちの物なのよ。知らなかったの?」
左隣に寝ていたミィティも俺の腕に抱きついてきた。
俺の両腕は引き続き抱き枕状態になった。二つの違う双丘を楽しむ余韻すらなくなっていた。
──コンコン。
ドアがノックされるとリリィとココルがワゴンを持って入ってきた。
「もうすぐお昼になる時間ですが、朝食をお持ちしました。不潔集団様」
「ココルちゃん。これは誤解で……って、頭痛いし、何にも覚えてないや」
「リコス昨日は、すごいんだもん。あたい魔王だったのにやられっぱなし」
「それを言うなら、ドラゴンの私だって……あそこまでされるとは……」
「リコスのにーちゃん大分大きかったよね」
「はい。立派な物でしたね」
「「はやり不潔ですね」」
リリィとココルに完全に嫌われてしまった様子。
「酒飲み大口野郎どもは、朝食を冷めないうちに召し上がってください」
「は~い、やっぱり頭痛い」
「私も同じ……ちょっとフリソス。蜆のスープよ」
「なんだって蜆のスープ好きぃ~」
フリソスとリーファは、飛び起きると服を着て朝食へと向かう。
さっきまでの俺は何だったんだよ。蜆に負けたのか。
「そんなに蜆とやらはうまいのか?」
「リコス知らないの? 酒を飲んだ後はやっぱり蜆のスープよ。あぁ、胃袋に染み渡る」
「そうですわね。染み渡りますわ」
二人ともおいしそうに蜆とかいう小さな黒い貝のスープを飲んでいる。
あんなに小さいと、身を食べるのも大変そうだが、いい香りが漂ってくる。
「おいしそうな香りだ」
「そうですねティミィ。いい香りです」
ティミィとティナの二人も起きては、ソファにかけてあった服を着る。
「二人とも酒を飲んだ後は、蜆のスープに限るわよ」
みんながスープにかじりついている間、リリィがベッドに居る俺へ寄ってきた。
「夜のキング様。秘密の入口を発見いたしました」
「なんだよその夜のキングって……それよりも本当かい秘密の入口を見つけたのって」
「本当でございます。夜の帝王様」
「だから帝王ってなんだよ。ココルまでも」
「リコスすごかったもんな、この国を絶対に世界一の幸せの国にして見せるって宣言してさ」
「ドラゴンの私だって、そんな大口は叩けないわ」
「すごく大きく見えたよね」
「そうですティミィの言った通り立派でした」
あぁ、そうか。そんなこっぱ恥ずかしいかしいことを口走っていたのか。
別にやましいことをしていたわけじゃないのか。
「失礼しました。ご主人様より朝はリコス様で遊ぼうと申されておりましたので」
「ご主人様は悪いお方なのです」
「ちょっとからかっただけだからな、気を落とすなよリコス」
「あっははははははは……からかわれていただけか……」
「うわっ、私のリコスが壊れたじゃないの。フリソスどうするつもりよ」
「どうするもこうするも、壊れちゃったものは仕方ないだろ。今度は本当にリコスを男にするだけだ」
ベッドの上である意味安心した俺であった。
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