第8話 金策の前に農家へ行ってみた。とさ

あらゆる金策も必要だが、明日生きるための作物も大切だ。

街道を歩いているときに気になってはいたが、農地が荒れ果てていたのだ。

そこでフリソスと一緒に農地を視察に出かけた。

すると昔は麦畑だったと言う土地を見た。あちこちでかい石だらけだった。

肉塊の国王軍による投石の結果だそうだ。

投石って、随分と原始的な攻撃方法だよな。よくまぁ軍師はそんなことをしたんだか理解に苦しむ。単純に武器が不足していたのかな。

「ご覧ください魔王様。農地はこのように大きな石だらけで、田畑で作物を育てることができません。どうにかできないでしょうか?」

農家の主人達は困り果てている。

さてさてどうしたものか、小石程度なら、拾うのは容易いが、人の背丈ほどある石がゴロゴロしていてはどうにもならない。

「なぁ、フリソス。魔法はどれぐらい使えるんだ」

「ん? 魔法ぐらいならなんでも使えるぞ。ただし治癒系とかバフ系は、できるけどもっぱらやる気なしだけどね」

「そうか、それならこのデカい石をゴーレムにすることはできないか?」

「おぉ、もちろん可能だ。一丁やってみるか」

フリソスは目をつぶり、呪文の詠唱なしで足元に魔方陣を展開している。

普通の魔法使いの人間とは違い、魔王は思念だけで魔法を発動できるみたい。

一つの石の塊がゆっくりと動き出しすと、ぽろぽろと石が砕け散り、人型に形を変えていった。サイズは今一つゴーレムとしての迫力に欠けるが、人と同じ身長のゴーレムが生成された。

「いいじゃないか。ちなみに命令はどの程度可能だい」

「そうだな、三つのことを繰り返すぐらいなら十分可能だな」

「うんうん、それだけできれば上出来だ」

俺はある考えが浮かんでいた。

それはゴーレムを使った街道整備だ。

このゴーレムを使って、デコボコで馬車すら通れない街道を整備するのだ。

フリソスに数十体のゴーレムを生成してもらい、田畑の石を砕く班とその石を運び出す班、運んだ石を街道に敷き詰める班をに分けることにした。田畑の石がなくなったら、ゴーレム自体の魔法を解き、街道の石になるようにする。これですべての石は街道へ敷き詰められる。農地の石はかたずけられるし、さらに物流の往来がしやすくなるぞ。

ゴーレムによる街道整備を始めてから数日後、すべての石は街道の石畳へと変貌を遂げた。

「魔王様と勇者様のおかげで、田畑の石はすべてなくなりました。それに街道が通りやすくなったので、物資や農機具が運び出しやすくなったため、大変効率が良くなりました。ありがとうございます!」

これで田畑の改良と街道整備を一度に成し遂げたのであった。

もちろん西側の国境付近の街道整備はやっていない。なぜなら住人はほとんど住んでいないのと、あの肉塊がいる限りはやる必要もなかろう。

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