第5話 魔王と戦ってみた。とさ

俺は鞘から剣を抜いた。魔王もレイピアのような細身の剣を何もない虚空から取り出した。

俺はすぐさま右から回り込み、錆びついたギロチン台を蹴って魔王の懐に入り込む。

すぐさまレイピアによって弾かれた。

「いい腕もしているな。ますます気にいった。勝負の方法を思いついたよ。致命的なダメージを与えたほうが勝ちではどうだろうか。勝者は相手の願いを聞き入れる」

「いいだろうその条件を呑もう」

「クリストフ何やってんだ。攻撃呪文はどうした」

ドンザレスは慌ててクリストフを急かしている。

「それがどの呪文も発動しないんだよ。さっき呪文をキャンセルされたときに封じ込められたのかもしれない!」

クリストフは慌てふためいているが、その時リリィが素早さのを上げる呪文をかけてくれた。魔法は攻撃だけがすべてではない。物理攻撃の補助するバフ呪文もある。リリィはその後も防御力を上げる呪文などバフ系統の呪文を連発してくれている。

とてもいい連携だ。

「素早さが上がっているね。ならこれは防げるかしら」

魔王はレイピアを高速で刺突してくる。はねのけるのでやっとだ。

魔王の追撃は終わらない。高く空中に飛んだと思うと、俺の剣の上に乗っかった。

「随分と息が上がっているようだけど、負けを認める?」

「誰がそんなことを」

俺は魔王の乗った剣を振り下ろした。

「あら残念」

魔王は何もない空間にレイピアを振り下ろすと、空間に穴を開け、半身をその空間に身を入れた。

空間を渡れるのか。その光景を見つめていると……。

刹那。俺の首には魔王のレイピアが突き付けられていた。

耳元で魔王が小声で語る。

「チェックメイト」

俺は生唾を呑んだ。

「畜生。またダメか。クリストフ呪文はいいから撤収だ」

「あぁ……」

二人はあっという間に中庭から撤収していった。

これで終わりか、相手は廃業したとはいえ、魔王であることに違いはない。苦労人として過ごしてきた俺は、過去の出来事が走馬灯のようによみがえってくる。

「ちよっと、なに!? 覚悟しているのよ」

「殺すならできるだけ……痛くしないで貰えるとありがたい」

情けないな。人生の最後ぐらいは……派手に散ってやるか最後ぐらいは。

「待った。る前にリリィの命だけは助けてやってほしい。それ以外の望みはない。存分にってくれ」

「……くっくくく……っははははは」

「何がそんなにおかしい、仲間を助けてくれればそれで構わないと言っているだけだろ」

魔王は何を企んでいるんだ。俺をからかってそんなに楽しいのか。

「悪い悪い。そんなに笑うつもりはなかったのだけどね。ココル、お茶にしようか」

「もう準備が済んでおりますご主人様」

その声はリリィ? なんでリリィが魔王のことをご主人様と言っているんだ。

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