Lv.5 南の大陸 王様の困り事

王様「よくぞもどった。ヒロキがつぎのレベルになるにはあと54のけいけんがひつようじゃ。

タマネギが─」


俺「おっけ!王様ありがとう! 俺達さ、最終的にには魔王AIドラゴンがいるっていう、『最北端の島』へ行きたいんだ。世界回って、気球手に入れられたら─と思ってるんだけど、この先どうしていったらいいと思う?」


王様「…わしの話も聞いてくれぇ… ふむ、気球か…そうじゃな… この大陸で手に入れるのは難しそうじゃな… 一番『最北端の島』に近い『北の大陸』にある、『ノースカントリー』という町に気球の職人がいるという話は聞いた事があるが… 詳細はわからぬ… すまんのぉ…」


タマネギ「雪の国『ノースカントリー』… あそこに…


ミカン「タマネギッ、行った事あるのっ?」


タマネギ「うん、もう何年も前だけどね、スノボーやりに」


リンゴ「いいなー❤️ あたしもスノボーやりたい❤️ ねー、その国着いたら、みんなで行こ❤️ その後、温泉も行きたいなー❤️」


俺「スノボーはともかく、温泉いいな!」


王様「…オホンッ、いいかね…? その『ノースカントリー』のある『北の大陸』へは定期船を乗り継いで行くしか方法はない─ この大陸より定期船の出る町『ポートサイド』─ まずはここを目指しなさい─ …と言いたいところなのだが、ここでもひとつ問題があってな…」


俺「問題? どうしたんすか?」


王様「…いや、実はの…『ポートサイド』の町長から…秘密裏に個人的に借り物をしてたんだがな… ワシが悪いのだが… ちょっと目を離した隙に、それを盗人に盗まれてしまったのだ… それを知った町長のやつめが、怒ってしまってのぉ… 『取り戻すまで定期船は動かさんっ!』などとぬかしおって… 定期船の運航をストップかけおったのだ…」


タマネギ「おぉ…それは困りモノですね…」


王様「…うむ… 盗人は名前も居場所も特定できている… 相手はたった1人… 兵を挙げて取り戻しに行ったんだがな…返り討ちにあってしもうた… 引き連れた兵10名は全滅じゃ…」


ミカン「10人がっ? たった1人にっ?」


リンゴ「やばー❤️強いのかもー❤️」


王様「頼む。勇者ヒロキとその仲間達よ。どうか、盗人より盗んだ物を取り返してきてくれぬか? それが果たせたなら、そなたを勇者と認めよう。では、行け。ヒロキよ」


俺「勝手に決めんな汗 メッチャ偉そうだな汗 自分が盗られたくせに汗 あんたに認めてもらわなくても俺は勇者だ汗」


タマネギ「まあまあ、ヒロキ。定期船が動かないと、わたし達も困る訳で…。ここはひとつ、協力してあげましょう」


俺「ぐぬぬぬぬ… …しょうがない… わかったよ… 今回だけだぞ」


王様「引き受けてくれるか!感謝するぞ!」


ミカン「オッケーGoogleですっ。盗人の名前と居場所っ、わかってるんですよねっ? 教えてくださいっ」


王様「うむ。盗人の名はアーノルド・ハート。はじまりの城の城下町に住む老人じゃ」


俺「はじまりの城っ? アーノルド? どこかで聞いたような… てか、流れたけどオッケーGoogleって…」


リンゴ「あー❤️ たんぽぽさんだ❤️」


俺「あっ、たんぽぽ!あいつか!ちょっとイヤな予感が…」


タマネギ「たんぽぽさん… なぜそんな事を…? ちなみに盗まれたものって何なんですか?」


王様「…DVDだ…」


俺「…だいぶイヤな予感が…」


ミカン「DVDですか? なんか、街造りに向けたものとか、そういう公的なやつなんですかっ?」


王様「…いや… なんというか… オブラートに包んだ表し方をすると… いわゆる『セクシービデオ』というやつだ… タイトルは『マリアの初体験』だ…」


リンゴ「キャー❤️ やらしー笑❤️」


俺「でたー。たんぽぽの娘ー。てか、どこもオブラードに包まれてません。そのままです。ありのままです。ちなみに、『』も不要です。むしろ、モノを強調してます。逆効果です。もうツッコミ所が多すぎてどうしていいかわかりません。とりあえず、この世界において、しばき倒したい人物一気に1→5人に増えました!おめでとう御座います! えっと、まず①はじまりの城の王様でしょー ②今目の前にいる王様でしょー ③ポートサイド町長でしょー ④たんぽぽでしょー ⑤この際たんぽぽ娘もだなー」


タマネギ「ヒロキッ!」


俺「なっ…なにっ?」


タマネギ「セクシービデオとは何ですか?」


俺「─さ!もう帰って寝るか─」


ミカン「また怒っちゃうから、知らないほうがいいよっ」


タマネギ「そ…そうなんですね… 気になる… すごく気になる…」


俺「…てか、ちょっと思ったんですけど、同じの買って弁償すればいいんじゃないですか? DVDなんて、そんな高価なものじゃないでしょ? 盗人の肩持つ訳じゃないけど、マリアって、もう疎遠になっちゃった、たんぽぽの娘みたいでね… 形見みたいなものだろうし、いくら盗んだ物とはいえ、それを無理矢理奪い返すのはちょっと気が引けるな…」


ミカン「ヒロキッ、いい事言うねっ」


王様「いや… それがの… ダメなのだ… ワシも同じものが簡単に手に入るのならそうするのだが… 30年前に数量限定で生産された物のようでな… 同じ物は手に入らん… プレミアが付いておってな… もし持ってる者から買おうものなら、100万Gは下らんだろう…


俺「ひっ…ひゃくまん??」


王様「だからの…頼む… なんとかアーノルドからモノを取り返してくれぇ…やり方はお主らに任せるから…」


俺「─しょうがない。わかったよ─」


俺達は渋々、再度たんぽぽ宅へと向かう─


──────────


道中、俺はタマネギ、ミカンに聞こえないところでリンゴにある相談を持ちかける─


俺「リンゴ、ちょっといい?」


リンゴ「ん?なにー?❤️」


俺「ちょっと相談なんだけどさ… たんぽぽ… いや、アーノルド・ハートは10人がかりでも返り討ちに遭う程の強さ… できれば話し合いでケリを付けたいけど、こじれて戦う事になるかもしれない… もしもの時の為に、あれを装備しといてくれないか?」


リンゴ「あれってなにー?❤️」


俺「ほら…あのじいさんを一撃で悩殺させたあれだよ…エッチな下着…」


リンゴ「…えっ…」


リンゴの足が止まる─


俺「─?リンゴ─?……ええっ!!」


なんとリンゴは大粒の涙を流しはじめた─


タマネギ&ミカン「リンゴッ、どうしたのっ?」


リンゴ「ヒロぽんがっ…ひっく…ヒロぽんがっ…ひっく…ひどいよ…たんぽぽさん…説得するのに…ひっく…あたしに身体使えって…ひっく…『お前の取り柄はそのおっぱいだけなんだ』って…ひっく…『バカな女は身体使う事でしか役に立たないんだよ』って…」


ミカン「─っ、ひどい─」


タマネギ「─なんなんですか?ヒロキそれは─?」


俺「ええっ!いやいやいやいや!ちょっと待っ─」


リンゴ「ひどいよ…ヒロぽん…あたしの事なんだと思ってるの…? あたしっ…ひっく…そんなに軽い女じゃないんだよ…? ヒロぽんの『つ』じゃないんだよ…? …ああ…『つ』ってあれね…『都合のいい女』って事ね…」


俺「待って待って!語弊があるっ!いや、語弊しかないっ!俺、そんな事言ってないじゃんっ!」


リンゴ「タマネギッ…ミカンッ…お願いっ…ひっく…ヒロぽんに…約束させてっ…もう…あたしの事弄ばないって…」


俺「弄ば…」


タマネギ「ヒロキ、リンゴに謝ってください」


ミカン「もう二度と同じ事しちゃダメだよっ」


俺「─そんな─俺はそんなつもりじゃ─ いや、ごめん、リンゴ。もう2度と同じ事はしないよ。約束する」


リンゴ「…ほんとうに…約束してくれる?」


俺「ああ!もちろん!」


リンゴ「…カジノでお金いっぱい使っても…怒らない?」


俺「…ああ…もちろん…」


リンゴ「…この先、あたしのご飯代は…全部ヒロぽん持ちね…」


俺「えぇっ…あっ…あぁ…もち…ろん…」


リンゴ「わーい❤️ありがと❤️」


俺「………」


疲れ果て、言葉も出ない俺にリンゴはそっと告げる─


リンゴ「大丈夫❤️ ちゃんと下着は付けとくよ❤️ いざって時は使うね❤️ なんなら、もしもの時はその先も❤️」


俺「……悪女……」



そうこうしてるうち、俺達はたんぽぽ宅に辿り着く─ たんぽぽ…いや、アーノルド・ハートは話し合いでの説得に応じてくれるのか─

それとも拗れてバトルになってしまうのか─ 緊張の中、俺達は再びたんぽぽ宅に足を踏み入れた─





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