Lv.4 南の大陸 カジノで小休止

ロマンスの城にて、「ぼうけんのしょ」にここまでの冒険を記録した俺達は、ここまでの旅の疲れを労い、ホテルを取り、カジノに遊びに来た。

現在の所持金2,500G


リンゴ「わー❤️ カジノひさしぶりーっ❤️ ねーこっちこっち❤️ コイン買わなきゃっ❤️」


ミカン「リンゴは来たことあるんだねっ、わたしは初めてだっ。楽しみっ」


タマネギ「わたしも初めてだ─ カジノ─ 遊技場とはいかなるものか─ ヒロキ、油断禁物です─」


俺「─いや汗 そこまで構えなくても大丈夫だと思うよ笑」


コイン販売所「いらっしゃいませ。コインの販売所はこちらです。現在ヒロキさんは… あら?1枚も持ってないようですね。1枚20Gになりますが、何枚お求めですか?」


リンゴ「えっと、、200枚くださいっ❤️」


俺「!─いや!待て待て待て待て!汗 え?今2,500Gしかないけど💨 全部使っちゃう気っ?? てか、足りないけど!」


リンゴ「えー、うん❤️ ダメ?」


俺「いや、ダメでしょ!ごめん、お願いっ! 俺、新しい剣買いたい!ハガネの剣!1,500G!」


リンゴ「えー、ヒロぽん、あたしにはエッチな下着しか装備させないくせに、自分ばっかりずるくない?❤️ 公衆の面前であたしの事、下着姿で引きずり回しておいてさ… ひどいよ… あたし、死ぬほど恥ずかしかったんだからね… もうやだ…死にたい…」


リンゴの瞳に涙が浮かぶ

想定外のリンゴの反応と、心当たりゼロの俺の行動への非難に俺は自分を見失う


俺「俺がいつそんなことした??汗 いや、しましたか?? 申し訳ございません。心当たりが… もう、わからない! 自分が怖い! とりあえずごめん汗」


リンゴ「…もうしないって約束してくれる?」


俺「約束します!2度としないと誓います!」


リンゴ「─わかってくれたならいいよ❤️ ありがとう❤️ じゃあ、125枚お願いします❤️」


コイン販売所「125枚ですね。ありがとうございます。2,500Gになります。」


ヒロキはコインを受け取った

所持金2,500→0G

終わった─

そうだ─

俺の初期装備のドウの剣を売ろう─

売ったお金を諸々の雑費にあてよう─

今日から俺は武道家だ─

筋トレしなきゃ─

それからそれから─


現実逃避がとまらない

なけなしの125枚でリンゴはスロットを打ち始める


ミカン「ヒロキ、大丈夫だよっ! 景品見てっ!50,000枚でキング・オブ・メタルの剣だって! あれ、この世界で最強って言われてるんだよっ!」


俺「え、なにそのキング・オブ・コントみたいな名前の剣! ほんとに最強なの?? てか、最強の剣がカジノの景品にあるの?? FFでいうならアルテマウェポンが? 聖剣伝説でいうならマナの剣が? クロノトリガーでいうなら…」


リンゴ「あちゃー、ダメだったぁ❤️ 全部のまれちゃったぁ❤️ ごめーん❤️」


─はい、終了ー 今日から俺武道家ー 素手で熊も倒せるように筋トレ筋トレ


リンゴ「─あれっ、待って。あと3枚だけ残ってた❤️ 泣いても笑っても最後の1回転だ❤️」


俺「最後の1回転でそんなミラクル起きる訳が…」


リンゴ「きゃー❤️ 7揃ったー❤️」


俺「え!うそ!!」


タマネギ「ほんとうです!ヒロキ!見てください!」


7揃いでのファンファーレ、ジェットスモーク、とド派手な演出と共に滝のように流れ出るメダル


ミカン「やった!やったっ!20万枚っ」


俺「やった!やったっ!武道家にならずに済む」


リンゴ「みんな─ あたしを信じて、全財産を託してくれてありがとう❤️ わたし─やったよ❤️ メダルは1人50,000枚ずつね❤️ 好きな景品と変えよっ❤️」


俺「おっ、おぉ… 全然信じて託した訳じゃないけど、とりあえずよかったわ! スロットであんまり『わたし頑張りました』感出されても…」


タマネギ「ヒロキっ、いいですよ」


俺「あっ…あぁ。ごめん。リンゴ、ありがとな!」


リンゴ「えへっ❤️ どーいたしまして❤️」


──────────


こうして俺は、Lv.4にして運良く世界最強の剣キング・オブ・メタルの剣を手に入れた─

3人も、各々好きな装備やアクセサリーと交換したようだ。

あまったコインはGに換金できたので、所持金も増えた。

現在の所持金0→200,000G

旅を続けるのに、しばらくお金には困らなくて済みそうだ─


カジノ遊びも終わり、ホテルへの道中、俺はふたたび、はじまりの城の王様からもらった50Gの事を思い出す。

カジノのコインは1枚@20G

日本の遊戯場のスロットは1,000円で46枚…1枚

@21.73円

─て事は、1Gと1円はほぼ同価値?

─て事は、「これで装備整えな!」ってポッケにたまたま入ってた50円玉くれたようなもの?

─これから魔王退治に旅立とうとする勇者に?

─そんなやついる?


──────────


ホテルで夕飯を済ませ、俺達は各々床につく

その夜、俺はふと現実世界の事を思い出した。


─現実世界の俺はどうなったのかな?

やっぱ死んじゃったのかな?

わからないけど、父さん、母さん、ごめんな。心配かけて。

こっちの世界は、まだ来て2日だけど、仲間と楽しくやってるよ。


─仲間と楽しく? そういえば、そんな思いをしたのはいつ以来だろ?


俺はいつからか、まともに話をできる友達がいなくなってた─ 友達関係を築いてくのが面倒臭くなって、自分のカラに閉じこもり、当たり障りのないやり取りばっかりになって、気付いたら本音でぶつかれる友達はいなくなってた。

友達関係をないがしろにして、好きなゲームをやったり、YouTubeばかり観てた。

気付いたら誰も俺に話しかけてこなくなった。

「周りは俺を見下してる」そんな風に思っていた─

─でも、それは違うんじゃないか?

周りが俺にぶつかってこないのは、俺が自分のカラに閉じこもって出ようともしないからじゃないか?

見下してるかどうかなんて、1度も本音でぶつかってないのに、わからないんじゃないか?

こっちの世界の仲間は楽しい─ それは俺が本音でぶつかれてるから? だから本音でぶつかってきてくれて、こんな刺激的な時間を過ごせてるのかな。


魔王を倒したらどうなるのかな?

現実世界へ帰れるのかな?

もし現実世界へ帰れたなら─

クラスのあいつらに本音でぶつかってみよう─

もしかしたら、ここと同じで、刺激的で楽しい毎日になるかもしれない─

本音でぶつかって、それでダメだったら離れればいい─


寝入る前、俺はふとそんな事を考えていた─













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