第6話 わかった気がする

 ふと…

 ああ…

 思い当たりました。



 まだ映画は始まりません。

「映画泥棒」もまだ出てきていません。



「りほ…」

 隣の娘に声を掛けました。



「なに…」

「入ってくるときにチケットさ…見せたのにね…」

「うん…」

「係の人…わざわざ追ってきてね…」

「うん…」

「もう一度チケット見せて下さいって確認された…」

「なんで…?」



 僕は会場全体を首をまわして見ました。

「さっきまではちゃんとチケット見せたのに…って思っていたんだ」

「ちがうの…」



「ちがうと思う…」

「なんだったの…」



「わかった気がする」

「なんで…?」

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