第6話 変態暴走癖合法ロリ

「……くぅぅぅっっっ!!!はぁ、はぁ……」

 

 一軍のみんなが第一フィールドで練習している中、俺は四軍に混じってリハビリをしていた。

 とはいっても、いる空間が同じなだけで別メニューなんだけどさ。

 ここに居る奴ら、今は七人……そいつら、俺も含めたメンバーは全員リハビリ組だ。

 大怪我をしてから調子が戻らないタイプの競技者だ。

 この学校はそういう、怪我持ちで博打タイプの選手の勧誘を多くするから、そのためだけに四軍なんてものが用意されている。

 世の中からはたまに批判されたりはするけど、ぶっちゃけここのスタッフの技術はすごい。

 プロの悪魔討伐隊スタッフが視察に来た時に、うちより設備や人員が充実してると言っていたくらいだからな。

 まあそこのチームは、『貧乏戦隊』と馬鹿にされるほど親会社に金がなく、チームの利益を親会社に吸い上げるようなクソではあるけど。

 いや、プロになれてもあそこだけは行きたくないな。


 しかし、リハビリはキツいな。

 現在はコーチの指導の元、データを取り直している。

 今の身体能力の具体的な値、動きの癖、体の使い方の癖、イップスになっていないか……その他諸々。

 

 データは取り終わった。けど、以前ならこの程度で疲れていなかったであろう動きでも肩で息をしている。

 身体能力が上がってこのザマか……やっぱり体の動かし方というのは重要なんだな……。

 

「お疲れ様〜。以前のデータと比較してみましたけど、やっぱりぜんぜん違いますね」

 

 俺専用コーチとして雇ったというとても可愛らしい女性……いや、少女にしか見えん。しかも、14歳位の。

 あれ?この人28歳だったよね?

 合法ロリってやつか?

 中学生はロリじゃない?知るかボケナス。

 

 いや、そんなことはどうでもいい。

 

 ともかく、そんな美女……うん、可愛いけど美女は……いや、美女でいいや。美女に優しく微笑みかけられながら、肩の辺りを撫で回されている。

 

 あ、これはセクハラではなく触って状態を確かめているだけだ。

 女性プレイヤーはこういうトレーナーさんとかコーチに関しても面倒だから、そもそもチームに受け入れてないという小中高もある。

 大学もだ。

 社会人や独立リーグにもなるとまた別だけど。

 

 で、だ。

 データと違うと言われているが、どうにも変わっているのは悪い方にだけじゃないらしい。

 身体能力以外の、技術面、メンタル面に関してだ。

 

「その体になったから精神が安定したのかな?以前より穏やかな心持ちのまま闘志を押し出せてる。だからか、槍を振り下ろす動作と、刀で突く動作が安定してますね。あと、ガンの命中精度もこのまま行けば以前の数十倍は良くなりますよ!凄いよキミ!絶対全体一位指名狙えますよ!」

 

「ふふふ、良い部分だけ列挙されてもちょっと反応に困りますよ……。全体的には間違いなく大幅に弱体化してるんですから」

 

 あんまりにも褒め殺すもんだから勘違いしてしまいそうだ。

 しかし、汗ばむこの女の子……いや、美女を見ていると若干情欲が湧いてくるな。

 動作の程度は違えど、かなりの濃度で一緒に体を動かしてたわけだからかなり汗だくだ。

 ……年下はそんな好みじゃないんだけど、思わずドキドキしてしまいそうになった。

 だって理想の貧乳してるし。

 ちゃんと対策はしているようで、透けたりはしないが……それでもナイチチが存在感を発揮している。

 

「……なんだか違和感が凄いですね。ぱっと見や仕草なんかは完璧に、優しくて甘ったるくてとっても可愛らしい女の子なんですけど、目線が……ちょっとアレですから。話には聞いていましたが、本当なんだと再確認しました」

 

 美女は己の胸を親指で指さしながら苦笑した。

 

 ……バレていたか。

 しかし、そんな完璧に演じられているか?

 まったくできてないと思っていたんだけどなぁ。

 

 だとしたら、俺に女の子としての適性があった?嫌過ぎる事実なんだけど……。

 

「あはは、すみません……」

 

「うふふ、許しましょう。しかし、そういうのは親しい子とだけにしましょうね?お姉さんとの約束です」

 

「素直に約束守れるかはわかりませんが、善処します」

 

 だってオラ大切な女の子に尻軽ビッチのあだ名付けられたくらいだし……。

 

「そういうことを望むのならば、せめて高校を卒業してからです。まあ、その頃にはわたしはおばさん一歩手前になってますけどね。あー、いまでもキミの年齢から見たらおばさんかな?」

 

「えっ、狙って良いんですか?……わたしみたいなの、普通嫌じゃありません?」

 

「私はそういう事自体にあんまり興味がないんだけど……キミほどかわいい子なら、まあ良いかな?って思ったんです。ほら、私ってこの容姿だから……昔から一週二週送れの見た目年齢で生きてきてましてね、今はこの容姿で固定されたけど……同じくらいの年齢の子にはそういう目で……なに花の女子高生にこんなこと話してるんだろ、私。事案よ事案。ごめんね?忘れてください」

 

 美女は顔を真っ赤にして土下座の態勢に入ろうとしていた。

 

 ……あっ、この人もわりと既に落ちてたわ。

 この見た目、万能すぎない?

 

 ならば、ここから更に落とすまでだ。

 この人なら、爛れた性生活もある程度は許してくれそうな感じがある。

 それに、専属コーチを本気でその気にさせられたら……悪魔討伐隊への道も開けるかもしれない。

 打算ありき、尻軽上等。

 だが、これは必要なものなのだ。

 

「そちらに傷があるならこっちにもありますから。傷の舐め合いでも良いんです……ね?今度の日曜日、デートでもしませんか?」

 

 そう言って、耳元に口を寄せて囁いた。

 思いっきりビクッとしてる。

 耳が弱いのかな?いつか耳かきでもしてやろうかな。夕陽やお姉ちゃん相手にしまくってるから慣れてるんだよ。

 今は手先も不器用になったけど、経験は生きてるから……プロ並みとは言わずとも十分上手いだろう。

 

 

 ちなみに日曜日は全体練習が休みの日だ。

 というか、練習自体禁止の日だ。

 筋肉維持のためのトレーニングや一部のリハビリ組の練習くらいしか許可されていない。

 

 だから、その日に定めて誘ってみた。

 

「あ、う……大人のお姉さんをいじめるのは禁止です!」

 

 顔を真っ赤にして美女……もとい毛利(もうり)鞠衣(まりい)さんは怒った。

 名前はネームプレートに書いてた。

 見逃してたわ。ごめんなさい。

 

「本当、どこでそういう術を覚えてきたんですか……?遊び慣れていたり?いや、それにしては女性的な演技が得意すぎるし……もしかして、女装してパパ活でも……!?」

 

 鞠衣さん……マリーさんは顔を真っ青にして妙なことを口走った。

 何考えてるんだこの人は。

 

「いやいや、そんなことするわけないでしょう。女の子にしか興味ありませんよ。男とは絶対に無理です」

 

「そ、そうですか……ともかく、あんまりからかうのは良くないですからね?そういうのはせめてもっと仲良くなってからにしましょう……!肉体関係さえ持たなければバレてもクビになったりはしませんが……怒られるのはおそらく確実でしょうし……ああ、なんでもないです、すみません、通報はしないでください……」

 

 その後はデータを弄るマリーさんをいじって楽しんでいた。

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