第4話 白金佐倉と村林由美3


「いやー美味しかった!」

 姫は満足そうに笑顔を浮かべながら言った

「喜んでくれてよかったよ。おすすめしたかいがあった」

「コーヒー飲めたらもっと楽しめたんだろうけど」

「そこは好みあるしココアも美味しかったんだろ?なら良かったんじゃねえかな」

「うん!でもコーヒーか紅茶少しずつ飲めるように頑張って見ようかな」

 どうしてもコーヒーを飲めるようになりたいらしい。俺としては嬉しいことだ。

「カフェオレの甘いのからのめるようにする!」

 甘いのから始めるらしい。まあそれで慣れていくだろう。姫のペースで楽しめるようになればいい。

「それで?この後どうするか決めたのかい?」

「う、うん!もちろん!とりあえず車いこうか?」

 と言い、スマホと睨めっこが始まった。さては忘れていやがったな。まあ車着くまでに決めてもらえばこちらとしては文句は無い。


 車に移動し、運転席に座る。姫の車だがたまにこうして少し遠出する時は俺が運転していた。事故るなよ、と念を押してくる。

「んで?決まったか?」

「んーどうしよう」

 決まってなかったらしい。全くなかなかどうして無責任な話だ。

「何か必要なものとかはないのか?」

「んーあったっけ?」

 俺に聞かれても困るのだが。

「あそこ行くか?」

 と駐車場から見えていた千葉駅周辺のデパートを指さした。

「車じゃない方がいいな、あそこなら」

 と、車に連れてきたにも関わらず車をそのまま駐車場に置き、再び歩き始めた。確かに駅周辺は駐車場代が高くつきそうだ。

「じゃあふらついて何か必要なもの思い出したら買えばいい」

「そうだね」

 そう言い姫は俺をかなり連れ回した。コスメを見ると言い俺がかなり場違いな店に3箇所連れて行かれた。何が違うのかは俺にはさっぱりで何が違うのかと問うと、全然ちがうじゃん!わかんない?と怒り気味に言われてしまった。

 わかるわけがない。逆に男でコスメに詳しい方がおられるならきっと女性とお付き合いしている方とかそこら辺だろう。残念ながら俺は彼女持ちではない。

 姫はコスメを数個買っていた。口紅みたいなものと、アイシャドウと言うものを、色を分けて買ったらしい。

 そして何より驚いたのは値段だった。普段からのお礼に買ってあげようかと考えていたが全て合わせて万を超えていた。

 なるほど。女性とこれから先、食事に行く際は自分が払うべきだと心から思った。姫には喫茶店奢らせてもらったしとりあえず今日はいいか。

 その後は服を見たり、本屋でお互いの好きな本をおすすめしたりして過ごした。

 服屋では、白も好きな服見てきなよと言われたが俺が着ている服は普通の服屋には売ってない。この事を伝えると俺の服装を普段から見ていて納得したのか、じゃあ私のに付き合ってとまた付き合わされた。

 まあ構わないのだが。

 だが申し訳なくなったのか、白の服も見に行こうと言い出した。

 と言うわけで俺たちはサラリーマンが行きそうなビジネスグッズを取り扱ってる店に向かった。

「居心地悪い」

「別に無理に付き合わなくてもいいんだぞ?」

「んーでも、しろに私の買い物付き合ってもらったし、しろの服選ぶ基準を知りたい!」

 と元気そうに言ったがきっと気を遣ってくれたのだろう。

 居心地悪いところに長居したくないだろう。と思い、さっさと見る物を見よう。

 俺の服装は少し前にも話したかもだが、基本スーツだ。

 ワイシャツ、ネクタイの色で遊び、ハットをかぶるためサラリーマンには見えないと思うがかなりかっちりしている。

 スーツは値が張るのでホイホイ買えない。となるとやはり見るべきはネクタイとワイシャツだ。それかハンカチ、ネクタイピン、今の季節だとこれからマフラーとかもいいかもしれない。

 とりあえず店をぐるりと一周し、一通り見る。その後目に止まったネクタイをじっくり見た。茶色系統でうさぎがさりげなくいるデザインだ。可愛らしくて目に止まったのだ。

「えっネクタイってこんな高いの?」

 姫が後ろからぴょんと顔を出して、驚愕していた。

 確かにこのネクタイは一本一万円だ。いつも買っているものより少し値がしたが、かなりいいデザインだ。

「まあ確かに少し高いかもな。でもこれかなりいいぞ」

「びっくりだわ。でもかわいいねそれ!さりげなくある感じがしろっぽい」

「どう言うことかよくわからないが、こいつは買おう」

 判断は早めにしたほうがいい。速攻でレジに持って行った。

「よし!出るか」

 姫に言ったが、姫がハンカチを見ている。居心地悪いんじゃなかったのか?と思ったが、何やらかなり真剣に見ている。

「私少し見たいのあったから先出てて!」

「あんだ?居心地悪いんじゃなかったか?」

「いいの!タバコでも吸ってこい!」

「はいよお」

 まあ逆らう必要もないしタバコを吸いに行こう。姫はタバコよかったのかな?と思いながら喫煙所に向かった。

「ふう、やはりうまい」

 体の疲れが飛んだ。帰りまで体力は持つだろう。すると姫からラインが来た。

〈どこ〉

 質素だな。と思いつつ

〈5階喫煙所〉

 と返し、火を消した。

 

 

 

 

 

 

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