第16話 部活仲間と初の連絡先の交換
「……呼猫、少しいいか」
「何?」
同じ講義で一緒になった呼猫に声をかける。
まだ部活に行くタイミングではないから、聞くとしたらいまだ。
「俺は処刑人になろうと思ってる。お前はどうなんだ?」
「え!? 統烏院君も!?」
「……も?」
「え! あ、あっとごめん……実は、僕の知り合いが教授から推薦をもらえるように頑張ってるんだけど条件が厳しいらしくて」
「条件?」
「うん、その教授が言うにはレムレス以外のモノを認知できる目が無くては無理だ……って、言われたらしくて。まずそれが第一段階だって言うんだけど、意味わからないよね」
「……そうか」
呼猫が言ったその教授の言葉の意味は、つまり神者が見えて居なければ話にならない、ということか。少なくとも、この大学にもわずかながらに神者は存在している。
例えば、コトダマという赤ん坊並みかそれより小さい怪異なども含まれているはず……ということは、ソイツにはもしかしたら素質がない可能性がある、ということか。
「その教授の名前は?」
「えっと、僕は知らない。その友達は秘密主義だから……でも、他にも推薦をもらえる教授はいるし大丈夫だよっ」
「そうか、感謝する」
言葉を礼を言うと、呼猫は固まった。いいや、固まったというより驚愕のあまり、理解ができずにフリーズしている、が近いかもしれないな。
ぽそ、っと呼猫は唇から言葉を漏らした。
「鋼陽君って……お礼、言うんだ」
「人としての大切な礼儀だろう、礼儀知らずな駄犬のつもりはないぞ」
「ぷっ、あはは……そっかぁ」
「……?」
なぜ呼猫が笑うか理解できなかったが、少なくとも呼猫は悪意的な意味でなく笑っていると思うので、首を傾げたが軽くスルーすることにした。
「……今日は部活はあるのか?」
「えっとね、毎日やってるけど来たい人は来てーって自由な感じかな。だから、いつでも統烏院君の好きな時に来ればいいよ。どんな料理をやってるかは僕が教えるから連絡先交換しよ?」
「……わかった」
スマホを出して、お互いに連絡先を交換する。
間違いがないか、二人で交互に自分たちの画面を確認をしたりして、先に呼猫が顔を上げる。
「うん、これで大丈夫だね。もし何かあったらいつでも連絡してくれればいいから!」
「ああ」
「ちなみに、今日は来る?」
「行く」
「わかった! ついてきて!」
◇ ◇ ◇
本日も、部活動が終わって家に戻って来た。
「ふぅ……」
ベットの上に乗っかって、だらんと体を伸ばす。
なんやかんや、呼猫と出会ってから料理部に入り浸っている日々が増えた。
自分の料理のレパートリーが増えるのはいいことだ。
しかし、困ったことに推薦をもらう教授にはいまだ一人として出会えていない……困った。本当に困ったことだ。
「どうしたものか」
成績は……首席というわけではないが、ある程度は上位の位置にはいる。
もし、はやく聆月のためにも処刑人にならなくては彼女に会う頻度が増えん。邪念がゼロな男よりも、少しの我欲がある方の人間の方が俺としては安心できるが……呼猫はそういう欲が強い性質には見えない。
だからといって、信頼ではなく信用はしている人間なのだ。
「……まずは、晩飯からか」
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