クラスの女子に好意を抱いてたが、告白する勇気が無くて困っていたら、友達になる？ と言われたのですが

第13話 麗華との秘密会談

　少しこの場を離れるのは少し嫌だが、ここは麗華さんと話した方が良いと思い、外に出た。

「で、奈由香のことどう思ってんのよ」

「それは……かわいいとは思いますよ」

　それを言うことは簡単だ。一言で言い表す事はできないだろう。マジでかわいい。髪の毛の一本一本から、全てが可愛い。性格も優しいし、コミュ力もあるし、人を楽しませる才能もあるし。もう全てが好きだ。いつの間にかかわいいから好きになってるな。まあ良いか。

「それはどっちの意味で？」

「うるさいですね。もう良いでしょうその話は」

　好きだという方の意味だがそれを言うわけには行かない。麗華経由で奈由香に伝わるのはなんとなく気まずい。

「聞きたいの。お願い」

「嫌です」

「断ると言うことは、そう言う意味？」

　もう黙ってても意味がないようだ。もう半分くらいバレてるだろう。

「そうですか、ならもう言いますよ。俺は正直に言うと友達というより異性として好きです」

「やっぱりね」

　麗華は笑みを浮かべる。

「……なんか、そういうふうに見えますか？」

「どういうこと？」

「俺が奈由香のことを好きだから近づいたって」

　前田くんにも言われたし下村さんにも言われた事だ。俺はそれが気になる。麗華にとってもそういう風に見えるのか。

「いや、奈由香から前々から話は聞いてたし、そういうことをする人ではないと思ってるから」

「ありがとうございます」

　よかった信頼してもらえて。これなら安心だ。

「でさ、私にも手伝えることないかな？」

「え？」

「だって、こんな面白いことないじゃない！　私の友達とあなたが付き合うかも知れないなんてさ」

「そうですか？」

「うん。それに楽しい。やっぱり人生には刺激がないと！」

　彼女は笑顔で笑う。かわいい。いや、ダメだ。俺は奈由香一筋なのだ。それにしても最初会った時にも思ったが、やはりこの人は変わった人だな。

「じゃあ奈由香の弱点教えてあげる」

「弱点？」

「そう、奈由香はね、真面目そうに見えて実は調子に乗りやすいのよ」

　それはゲームの件で結構知ってるな。めっちゃ調子に乗ってたし。

「だから、もう雰囲気を作って告白したら上手くいくと思うわ」

　貴重な意見だ。雰囲気をどう作ったら良いのか分からないけど。

「例えばね」

　そう思ってたらちゃんと教えてくれるようだ。

「押したら良いのよ」

「押す？」

「そのままの意味よ、押し倒す」

　ええ？　強引すぎませんか？

「最悪犯罪とかになりませんか」

「そんなことになっても奈由香なら許してくれるわよ。あ、でも言っとくわ。あの子結構鈍感なことあるから結構攻めないと雰囲気は作れないわ」

　そりゃあ友達になって初日に家に来るぐらいだからな。それはご存知だ。

「だからよろしくね！　できれば私がいる時に告白して欲しいな」

「それは無理ですって！」

　まあ会話内容はともかく、これで告白まで、また一歩進んだな。

　あとは俺に勇気があればと言う話だけど。

「ただいま、奈由香、絵里」

「おかえり！　麗華。何してたの？」

「ちょっと秘密の会談をね」

　それ言って良いの？　まあいいけど

「そう、内容聞かせてくれない？」

「ダメ！」

「親友の頼みでも？」

「ダメなものはダメ」

「えー、絶交しようかなー」

　これちょっとやばくないか？　ばらされたら俺死ぬぞ。

「それをして困るのは奈由香でしょ。どうせすぐ泣くくせに」

「私はそんなダメじゃ無いよ！」

　奈由香はそう言ってそっぽを見る。

「ていうか二人が来ないから二曲目絵里が歌ってるからね」

「そうか」

　そして聞き始める。

「奈由香！　どうだった？」

「う、うまかったわよ」

「じゃあハグしてくれない？」

「そんなにハグしてると飽きるよ」

「飽きないわ。奈由香とだったら」

「ふふ、相変わらずね」

　その二人の会話に麗華が微笑んだ。まだ二時間程度しか今日一緒にいないが、もうお馴染みの光景になっている。

「毎回の光景なんだな」

「そうだね。もう十回は見たわ」

「十回……多いですね」

「何点かな？」

「奈由香気になる？」

「もちろん！　我がクラスの歌姫の点数だもん」

「私もー」

　くそ、いちゃいちゃを見せつけやがって。負けないからな！

「91.372だって！　高得点じゃん！」

「もう少し行ったと思ったんだけどね。悔しい、奈由香慰めて」

「よしよし」

「なんか積極的すぎないか？　あれ」

　麗華に小声で言う。

「だよね！　今日は雄太くんがいるからかな？」

「つまりライバルと見られてるってことか？」

「そうなるね」

「それは良かった」

良かったかどうかはわからないが……。

「次誰も入れてないよね。どっちか入れなよ」

「あ、私、デュエットがしたい」

「なら雄太くんとしたら？」

「それいいね」

　そう言いながら麗華が肩をちょんちょんとする。なんだ？

　いや、そういうことか。

「俺その次に奈由香ともしたい」

　そう言い放った。奈由香さんとのデュエットを提案しやすいようにこう提案したのだろう。

「分かった良いよ！」

　こうして二連続でデュエットをすることになった。

　まずは麗華とだ。

「運命の導きと君との愛を感じているのは……」

　楽しいな。デュエットは。人生初だが、これもいい。だが、麗華には悪いがこれは前座に過ぎない。たぶんさっきの会話から麗華もわかっているだろう。そう、次の奈由香とのが本番なのだ。

「楽しかったね」

　歌が終わった後麗華が言った。

「はい！」

「でも次が本番だもんね」

　そう耳元でささやかれた。それに対し、黙り込んでいると麗華がふふっと笑った。

「やめてくださいよ」

　そう小声で言った。

「雄太君行くよ！」

「うん」

　そして歌が始まる。

「君らしいねその笑顔は君と愛したこの世界を闇世に紛れたその刹那に君と歩こうこの世界。

　私は君と……」

　そして歌っていく。楽しい！　麗華には悪いが、好きな人と歌うのでは十倍楽しい！　ハモリの部分とかはもう俺が奈由香の一部になっている感じがして、不思議な感じだ。不安だったが、今日カラオケに来て本当に良かったな。