第3話 自己紹介
「この度、第1回私立九頭龍学園入園式、入学式を行えることを心より御礼申し上げます」
『九頭龍学園』、国が将来の日本を担う人材を育て上げるために運営する学園である。今日はその入園式である。
「幼等部100名、小等部100名、中等部2600名、高等部3900名、大学6500名、計13200名の入園、入学をここに許可します」
この学園の理事長、国士武斗(こくしたけと)が挨拶の口上を述べた。
ちなみに中等部は各コース100人で50人2クラス。高等部は各コース50人追加の150人で3クラス。大学はさらに100人追加の250人が最大の定員である。
それから約1時間、式が続いた。その間寝た者は1人もいなかった。優秀だ。
というか、よく中等部が定員に達したよね。まず、全国から受験してこのド田舎の県に来るのがすごいんだけど。
いや、てかなんでこんなド田舎県の学校に芸能科があるんだろう。やっぱり大女優の母さんが住んでるからなのかなぁ。
考えても仕方ないか。さて、本題に戻ろう。
九頭龍学園幼等部は50人づつの2クラスに分かれている。
「こんにちは、今日からみんなの先生になった久慈桐兎(くじきりと)です。早速だけど自己紹介していってください」
久慈先生がそう言って自己紹介が始まったのは覚えているけど、どんな感じだったかは忘れちゃったや。
でも1人だけ覚えてる。彼だけは3歳児らしからぬ態度だったおかげで印象に残っている。
「じゃあ、次はそこの男の子」
「国士水斗(こくしみなと)、好きな物はドラマで、将来の夢は芸能マネージャーです」
クールで、そして理知的な雰囲気を纏った子が自己紹介をした。
「えーと、水斗君。マネージャーなの?俳優じゃなくて。」
「はい。僕の見てるドラマに出てる人が好きで、その人を支えれる仕事に就きたいと思いました」
「えっと、素晴らしい夢ですね。じゃあ、最後は君。お願い」
「わたしのなまえは、てんせいきらら。しょうらいのゆめは、かあさんをこえること。みんな、よろしく」
「先生聞いたことあるよ。今、大人気の天才子役、天星煌羅。若干3歳にして出演したテレビやドラマは100本にまでのぼるという」
「先生、うるさいですよ」
天才3歳児、国士水斗君のキレのいいツッコミが久慈先生を襲う。
「ごめんなさい、ちょっと興奮してしまいまして」
「それと先生、子供相手に敬語と難しい言葉は使わない方がいいですよ。たぶん僕以外誰も理解できないと思います」
「水斗君は物知りさんなんだね」
「はい、昔からお父さんとお母さんに勉強を教えてもらってましたので。中学一年生までの範囲ならできます」
「天才かよ」
この後はしばらく話が続いてたけどどんな話だったかは覚えていないなぁ。ま、話が難しくて途中から何も聞いていなかっただけなんだけどね。
国士水斗君の第一印象は賢くてカッコイイだったなぁ。今となっては全然だけど。
今になって思えば幼等部から大学卒業までずっと芸能科で一緒だったのは彼だけだったからかな。初めての自己紹介の内容を完璧に覚えていたのは。
他の子達はうろ覚えなんだけどねぇ。
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